フェルマーの生家にある像の前で記念撮影するアンドリュー・ワイルズ。
フェルマーの生家にある像の前で記念撮影するアンドリュー・ワイルズ。 / Credit:Wikimedia Commons
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「フェルマーの最終定理」解決の裏に潜む数学ドラマ【後編】

2020.12.05 Saturday

数学者アンドリュー・ワイルズは日本の2人の数学者によって提唱された「谷山-志村予想」を証明することで、「フェルマーの最終定理」を解決させました。

その「谷山-志村予想」が示す内容とは「すべての楕円曲線はモジュラーである」というものです。

それは一体何を意味するのでしょうか?

まずはこの一文に含まれる2つの用語、「楕円曲線」と「モジュラー」がなんであるのか解説していきましょう。

前編の記事はこちら↓

「フェルマーの最終定理」解決の裏に潜む数学ドラマ【前編】

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フェルマーの最終定理 解決の重要鍵1 「楕円曲線」

楕円曲線とは、ある方程式の性質を調べる数論の問題です。

数論とはただひたすらに数の性質を調べるだけの、極めてストイックな数学の分野です。ある意味もっとも純粋な数学かもしれませんが、数学者以外から見たらなんの意味があるのかさっぱり意味不明な研究分野でしょう。

これが楕円曲線の基本となる方程式です。別にこの式自体は理解しなくても構いません。

楕円曲線論はこの方程式のaやbにいろんな数字を当てはめて、そのとき方程式から整数解が得られるか、解はいくつ存在するか、という性質を調べます。

紛らわしいですが、楕円も曲線もあまり関係ありません。もともとは、この方程式が楕円や惑星軌道の長さを計算するために使われていたことが名前の由来ですが、現在はそういう枠は超えて、ただこの方程式の性質を調べる学問になっています。

整数解があるかどうか、という聞き方でピンと来た人もいるでしょうが、フェルマーの最終定理も「xn + yn = zn」という方程式の性質を調べる数論の問題です。

数論の問題は、その研究の第一人者だった紀元前の数学者ディオファントスにちなんでディオファントス問題と呼ばれることがあります。実はフェルマーはこのディオファントスの大ファンで、楕円曲線についても研究していました。

アンドリュー・ワイルズも大学院生のとき、この楕円曲線を研究テーマに選んでいます。このことは後に重要な意味を持ってきます。

楕円曲線は、無限に存在する整数の組み合わせで、方程式の性質を調べていきます。そのため、ある程度使う数字を限定した時計演算という方法を使って調べるのですが、そのとき方程式の性質を表す要素としてE系列という数列の答えを得ることができます

E1=1 ,E2=4 , E3=4 , …

例えばこんな感じです。

これはいわば数学的DNAと呼べるもので、ある楕円曲線のもつエッセンスがこの数列の中に込められているのです。

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