ベレムナイトの「形」が命取りに?
今回注目されたのは「タルシス属(Tharsis)」というジュラ紀後期の海の繁栄した小型の硬骨魚です。
最大体長は約27cmほどですが、今回確認された個体は大人になる前段階にあり、体長は10cmほどでした。
彼らは主にプランクトンなどの小さな生き物を吸い込んで捕食していたとされます。
本調査では、このタルシスの化石がベレムナイトの化石とセットで見つかりました。
ベレムナイトとは、古代のイカの仲間のような頭足類で、胴体に「ロストラム」と呼ばれる円錐形の硬い骨格を持っていました。

複数の標本で確認されたのは、ベレムナイトのロストラムがタルシスの口に刺さり、喉に詰まっていたという驚くべき状態。
しかもベレムナイトの“尾”の先端がエラから突き出ていたものもあり、苦しみながら排出しようとした様子がうかがえます。
このロストラムは先端が細く、その後すぐに太くなる「弾頭型(hastate)」の形をしており、タルシスが呑み込もうとすると途中まではするりと入るものの、途中で胴体が太くなって詰まる構造になっていました。
つまり、餌と間違えて吸い込んでしまったが最後、吐き出すことも、噛み砕くこともできず、窒息してしまったと考えられるのです。