現生人類でもネアンデルタール人でもない「謎の頭骨」
物語の始まりは1960年、ギリシャ・テッサロニキ南東にある「ペトラロナ洞窟」です。
地元の村人が洞窟を調査していたところ、内壁から突き出した不思議な塊を見つけました。
それは下あごを欠いたものの、ほぼ完全な頭蓋骨でした。
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この頭骨はすぐに注目を集めましたが、研究が進むにつれて「正体不明の存在」であることが明らかになっていきます。
形の特徴は明らかにヒト属(Homo)ですが、ネアンデルタール人とは異なり、現生人類(ホモ・サピエンス)とも合致しません。
まるで人類の進化の枝の途中に、別の系統がひっそり存在していたかのようです。
しかし、この頭骨にはもう一つ大きな問題がありました。
それは「年代がわからない」ということです。
過去の研究では、17万年前から70万年前までと、あまりにも幅広い推定がなされてきました。
人類進化の歴史を語る上で、これは致命的な不確実さでした。