「首が弱点だった説」は200年前から唱えられていた
タニストロフェウスは三畳紀(約2億5190万〜2億130万年前)の中期に出現し、1000万年ほど繁栄した海洋爬虫類です。
最初の化石は1855年にポーランドで発掘され、その後ヨーロッパを中心に多数の化石が見つかっています。
極端に長い首は胴体の3倍近くあり、10〜13個の椎骨からなっていました。
しかし柔軟性に乏しく、左右に振ることはできても、ヘビのようにクネクネした柔らかさはなかったようです。
陸にも上がれましたが、近年の研究では「首が長すぎて陸上生活には不向きであり、ほとんどの時間を水中で過ごした」と考えられています。
この首の長さは確かに獲物の狩りに役立った一方で、古生物学者らは200年も前から「弱点にもなっていただろう」と考えてきました。
例えば、イギリスの地質学者であるヘンリー・デ・ラ・ビーチによる1830年の有名な絵の中には、捕食者に首を噛まれる海洋爬虫類の姿が描かれています。
これほど前から「首が弱点だった説」は唱えられていましたが、今日に至るまで、この仮説を証明する化石は見つかっていませんでした。
しかし今回、研究主任のステファン・シュピークマン(Stephan Spiekman)氏は、スイス・チューリッヒ大学に保管されている標本から、ついにその化石証拠を発見したのです。