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Credit: University of Reading(2025)
paleontology

草食恐竜が異種で集まって「混成軍団」を作っていた足跡証拠、カナダで発見

2025.07.24 17:00:06 Thursday

数千万年前の大地に、まるで現代のアフリカの草原のような光景が広がっていた――そんな可能性を示す驚きの化石証拠がカナダで発見されました。

一般的に恐竜たちは種ごとに単独行動していたと思われがちです。

しかし英レディング大学(University of Reading)の最新研究で、異なる種の草食恐竜が「混成軍団」のような集団で移動していたことが明らかになりました。

これはアフリカのヌーやシマウマが一緒に群れを成して歩くように、肉食の天敵に対する防護策の一つと見られています。

研究の詳細は2025年7月23日付で科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されました。

Dinosaur tracks show first evidence of multispecies herding https://www.reading.ac.uk/news/2025/Research-News/Dinosaur-tracks-show-first-evidence-of-multispecies-herding Dinosaurs roamed in multi-species herds, fossilized footprints show https://www.popsci.com/science/dinosaur-multi-species-herd/
A ceratopsid-dominated tracksite from the Dinosaur Park Formation (Campanian) at Dinosaur Provincial Park, Alberta, Canada https://doi.org/10.1371/journal.pone.0324913

角竜や鎧竜が混じって歩く、中には小型の肉食種も

カナダ・アルバータ州の州立恐竜公園(Dinosaur Provincial Park)で2024年に発見された「スカイライントラックサイト(Skyline Tracksite)」は、恐竜の足跡が高密度で保存された非常に珍しい地層です。

従来この地域では、骨の化石は豊富に見つかるものの、恐竜の足跡、特に自然の形そのままの足跡は極めて稀でした。

ところが今回発見された約7600万年前の白亜紀後期の足跡群は、単一の恐竜種によるものではありませんでした。

研究チームはここで、少なくとも5頭のケラトプス科(トリケラトプスを代表とする角竜類)が並んで歩いたと考えられる足跡列を確認。

さらにその間には、三本指の鎧竜(アンキロサウルス類)の足跡や、13cmほどの小型肉食恐竜の足跡も記録されていました。

つまり、異なる種の草食恐竜(小型の肉食恐竜も含めて)たちが集まって、一緒に混じり合いながら行進していたのです。

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発見されたケラトプス類の足跡/ Credit: Phil R. Bell et al., PLOS ONE(2025)

これだけでも十分に驚きですが、この足跡のすぐ近くに2頭の大型ティラノサウルス類が、これらの草食恐竜の足跡の進行方向とは垂直の方向に並んで歩いていた痕跡が残っていたことです。

研究者たちは、この発見を「白亜紀の一瞬を切り取ったスナップショット」と表現しています。

これらの足跡は、何を意味するのでしょうか?

次ページ草食恐竜の「混成行軍」は捕食者への対抗策か?

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