驚異の保存状態をもつ「爪化石」を発見!
テリジノサウルス類は、約1億4500万〜6600万年前の白亜紀にアジアや北アメリカに生息していた恐竜です。
長い首と小さな葉状の歯を持っており、三本指の手と大きな鉤爪で主に植物を食べる暮らしをしていました。
テリジノサウルス類は三本指の爪を巧みに使い、木の枝を引っ掛けて口元に引き寄せる行動をとっていたと考えられています。
これまでに知られているテリジノサウルス類はすべて三本指です。
しかし研究チームが今回、モンゴルのゴビ砂漠で発見した約9000万年前のテリジノサウルスの爪化石は様子が違っていました。
なんとのその爪の数は三本ではなく、二本しかなかったのです。

また驚くべきはその保存状態の高さにありました。
残された爪化石は長さ30センチ近くもあり、他の多くの化石のような二次元の平べったいものではなく、生前と同じ三次元の構造をほぼ完璧にとどめていたのです。
加えて、生前の爪を覆っていたケラチン質の爪鞘(つめさや)も保存されていました。
この爪の持ち主はテリジノサウルスの新種と断定されており、新たに「デュオニクス・ツクトバアタリ(Duonychus tsogtbaatari)」と命名されています。
デュオニクスはギリシャ語で「二つの爪」を意味し、ツクトバアタリはモンゴルの著名な古生物学者キシグジャヴ・ツクバートル博士に敬意を表したものです。

研究者によると、この新種個体は体高が約3メートル近くあり、体重は260キロ以上に達したと推定されています。
さらにチームはデュオニクス・ツクトバアタリの生前の姿も復元してみました。