二本指を持つ新種の「生前の姿」がコレだ!

デュオニクス・ツクトバアタリの化石は爪の他にも、いくつかの部位が見つかっています。
それを図示したのが上の画像です。
白で塗られた部分が化石の見つかっている場所を示します。
これを他のテリジノサウルス類の全身骨格と比較しながら、デュオニクス・ツクトバアタリの生前の姿を可能な限り復元しました。
そうして完成したのがこちらです。

チームの分析から、デュオニクス・ツクトバアタリは二本指の爪で物を掴んだり(グラップリング)、枝を握ったり(グラスピング)する機能を持っていたと考えられています。
また他のテリジノサウルス類には見られない、爪がほぼ90度に曲がり、非常に強くカーブしているという特徴も確認されました。
この独特な形状のおかげで、この新種恐竜は直径約10センチまでの枝や植物の束を掴むことができたと推測されています。
さらにデュオニクス・ツクトバアタリの手の構造は、植物を「かき集める」や「引っ掛けて引き寄せる」といった動作にも適していたようです。
今回の発見は、デュオニクス・ツクトバアタリが初めて見つかった「二指のテリジノサウルス類」であり、恐竜たちがどのように手の機能を変化させ、進化してきたのかを示す貴重な手がかりとなります。
実はこの新種とは別に、二本指の爪を進化させた有名な恐竜がいます。
それが「ティラノサウルス」です。

ティラノサウルスは恐竜界でもナンバーワンの知名度を誇りますが、彼らが生きた時代は約6600万〜7200万年前の恐竜時代の最期です。
そしてティラノサウルスも祖先はもともと三本指だったのですが、進化の過程で二本指になったことが知られています。
ティラノサウルスとデュオニクス・ツクトバアタリはなぜ指の数を一本減らしたのか?
二本指にすることには具体的にどのようなメリットがあったのか?
チームは今後、この二本指の収斂進化(しゅうれんしんか、※)の謎を解き明かしたいと考えています。
※ まったく別のグループで同じ形質が進化する現象。昆虫のケラと哺乳類のモグラはまったく別のグループなのに、スコップのような同じ手を進化させている)