体は小さくても戦略は巧妙「グローブ」を持つキンチャクガニとは?
キンチャクガニ(学名:Lybia edmondsoni)は、インド太平洋のサンゴ礁などに生息する小型のカニです。
日本でも沖縄や奄美大島などで見られます。
英語では「Boxer Crab(ボクサー蟹)」と呼ばれ、その名の通り、まるでボクサーのように両方のハサミにグローブを持つのが最大の特徴です。
しかしそのグローブは、布や革ではなく、なんと本物のイソギンチャクなのです。
キンチャクガニは、毒性を持つ小型イソギンチャクを左右のハサミに1つずつ持ちます。
このイソギンチャクは触手で毒を出し、外敵からの防御や餌の捕獲に役立ちます。
実際の映像がこちら。(※ 音量に注意してご視聴ください)
またイソギンチャクにとっても、海中を移動しながら酸素やプランクトンを得られるという利点があり、両者は相利共生の関係にあるとされています。
このような「他種の動物を武器として使う」スタイルは、自然界でも極めて珍しい戦略です。
さらに、キンチャクガニは非常に小さく、甲羅の幅は1センチ未満。
それにもかかわらず、見た目は派手で、脚に黒いリング模様、甲羅にはカラフルな幾何学模様が入っています。
まるでサンゴ礁の舞台でチアリーダーのように舞う姿から、「ポンポンガニ」と呼ばれることもあります。
けれども、彼らの真のしたたかさは、ここからです。