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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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ホッキョクグマが温暖化で生き残るため「DNAを書き換えていた」

2025.12.18 12:00:03 Thursday

北極海の氷が急速に失われつつあるなか、ホッキョクグマは絶滅の危機に瀕していると長く考えられています。

ところが最近、グリーンランド南部に生息する一部のホッキョクグマが、温暖化に対応するため、自らのDNAを“動的に変化させている”可能性があることが分かってきました。

その鍵を握るのは「ジャンピング遺伝子」と呼ばれる、ゲノム内を移動する特殊なDNA配列です。

研究の詳細は英イースト・アングリア大学(UEA)により、2025年12月12日付で科学雑誌『Mobile DNA』に掲載されています。

Polar Bears May Be Evolving to Survive in a Warmer World https://www.sciencealert.com/polar-bears-may-be-evolving-to-survive-in-a-warmer-world Polar bears in southern Greenland are ‘using jumping genes to rapidly rewrite their own DNA’ to survive melting sea ice https://www.livescience.com/animals/polar-bears/polar-bears-in-southern-greenland-are-using-jumping-genes-to-rapidly-rewrite-their-own-dna-to-survive-melting-sea-ice
Diverging transposon activity among polar bear sub-populations inhabiting different climate zones https://doi.org/10.1186/s13100-025-00387-4

氷が消える世界で、ホッキョクグマに何が起きているのか

温暖化の進行により、北極海の海氷は記録的な減少を続けています。

ホッキョクグマは海氷の上からアザラシを狩る生態をもつため、氷の喪失はそのまま生存基盤の崩壊を意味します。

こうした中、注目されているのがグリーンランド南東部に生息する小規模なホッキョクグマ集団です。

この集団は約200年前に北部の個体群から分かれ、比較的温暖で、氷の不安定な地域に隔離されてきました。

2022年には、彼らが海氷への依存度が低いという特徴をもつことが報告され、厳しい環境下で独自の適応を遂げている可能性が指摘されていました。

今回発表された研究では、この南東部のホッキョクグマのDNAと気温変化との関係が詳しく調べられました。

その結果、気温の上昇とともに、ホッキョクグマのゲノム内部で特異な変化が起きていることが明らかになったのです。

次ページ「ジャンピング遺伝子」がDNAを書き換える

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