自分でグローブを裂いてコピー!初撮影された「クローン再生」の瞬間
今回、BBCの新シリーズ『Parenthood』では、キンチャクガニが「片方のイソギンチャクを失ったときに、残った1つを引き裂いて再生させる」という驚きの行動が、初めて映像として撮影されました。
この行動は以前から観察報告がありましたが、実際の映像が記録されたのは今回が初めてです。
キンチャクガニがイソギンチャクを失うことは珍しくありません。
ハサミから滑り落ちることもあれば、ライバルのカニに奪われることもあります。
そんなとき、キンチャクガニは残された片方のイソギンチャクを、自らのハサミで真っ二つに引き裂き、左右のハサミに持ち直すのです。
裂かれたイソギンチャクは、その後、無性生殖によって再生し、2体のクローン個体になります。
つまり、キンチャクガニはイソギンチャクに無理やりクローン再生を促して「自前の武器セット」を復活させているのです。
実際の映像がこちら。
この現象は科学的にも注目されており、2017年の研究では、複数のカニ個体から採取されたイソギンチャクが遺伝的に同一(=クローン)であることが確認されています。
また観察によると、キンチャクガニ同士が出会った際、相手からイソギンチャクを奪い合う行動も見られるとのこと。
その場合も、お互いに奪ったイソギンチャクを分け合って再生し、結果的に両者が“両手”をそろえることもあるそうです。
このようにして、彼らは常に武装状態を保ち、外敵から身を守っているのです。
またイソギンチャクの方にも利点があり、カニの体に乗ることで、より多くの食料や酸素に触れられるという利点があって、孤立して生きるよりも生存率が上がるという研究もあります。
華やかなサンゴ礁の海で、カラフルな外見と毒のグローブをまとい、小さな体で懸命に生きるキンチャクガニ。
そのしたたかさと器用さには、思わず脱帽してしまいます。
一見すると可愛らしいこの生き物が、実はイソギンチャクの“再生能力”を巧みに利用し、自分の武器をコピーしていたとは驚きです。
こうした“共生と搾取のあいだ”を泳ぎ回る小さな存在たちが、海の生態系の中で果たしている役割は、まだまだ知られていないことが多いのです。
小さな体に秘めた知恵と工夫に、私たちも学ぶことがあるのかもしれません。
イソギンチャクで殴ったりはしちゃう…?
子供が成体になったとき、初めのイソギンチャクはどうやって手に入れるんだろう
そのへんにいるイソギンチャクで良いわけじゃなさそうだから
先輩から奪い取るのかなあ
イソギンチャクを背中に移植するヤドカリとかもいたな、イソギンチャクの足元?をこちょこちょして体が浮いたところを引っこ抜いて自分の身体に移植していた
しかしこの蟹はいわば両手がふさがった
状態。エサはどうやって食べるのかな?
ゾエア・メガロパ幼生の段階では大きなイソギンチャクに隠れ住み、稚ガニへと脱皮した段階でその一部をちぎり取るのではないだろうか。
なんでもこのイソギンチャクは〝そのへんにいるイソギンチャク〟に過ぎず、キンチャクガニに持たれることで形態を変えるそう。(キンチャクガニから外したものは元の形態に戻るらしい)
分裂で無性生殖じゃなくね?と思ったら、分裂も無性生殖の一種になるんですね