シュレーターペンギンの卵は1個目より2個目の方が大きい
研究主任のロイド・デイビス(Lloyd Davis)氏と同僚たちは1998年以来、シュレーターペンギン(学名:Eudyptes sclateri)の生息地に出向いて生態調査を行っていました。
その中でチームは2022年に、本種の繁殖地であるニュージーランドのアンティポデス諸島、バウンティ諸島で記録した約250時間にわたる観察データを改めて分析することに。
シュレーターペンギンのメスは通常5日の間隔をあけて2つの卵を産むことが知られています。
計158羽のペンギンのコロニーから一時的に採取した卵を比較したところ、これら2つの卵はサイズがまったく違うことが判明しました。
ほとんどの鳥類では、卵のサイズは産まれるにつれて小さくなるのに対し、シュレーターペンギンでは、2個目の卵が1個目の卵より平均して85%も大きかったのです。
「これほどの卵のサイズ差は、あらゆる鳥類の中でも最大だ」とデイビス氏は言います。
さらに調査を進めると、親個体の約45%が1つ目の卵を放棄し、触れることすらしませんでした。
他種のペンギンは一般に、石や枝、草を使って巣を作り、その中に卵を置きますが、シュレーターペンギンの90%以上は1つ目の卵を岩場の上に産み落とし、そのまま放置していました。
しかも岩場のほとんどは水平でないため、卵が転がり落ちて、割れることもあったのです。
巣の中に産卵した場合でも、1個目の卵は2個目を産む前か後の時点で巣から無くなっており、親が意図的に割ってしまうケースも確認されました。
シュレーターペンギンは明らかに1つ目の小さな卵を拒絶していたのです。