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毒蛇の科ごとの嚙みつきの違いを捉えることに成功 / Credit:Canva
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毒蛇ごとに異なる”噛みつきの秘密”が明らかに【超スローモーション動画あり】

2025.11.03 11:30:37 Monday

世界中に生息する多様な毒蛇たちは、それぞれが異なった仕方で獲物に噛みつき、毒を注入しています。

しかし、その動きはあまりにも素早く、人間の目には「一瞬の出来事」としか映りません。

何が起こっているのか、私たちにはまったく分からないのです。

そんな「目にも止まらぬ」毒蛇の攻撃の謎に、最新の科学技術が挑みました。

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)の研究チームが、毒蛇3科・計36種もの毒蛇の噛みつき行動を「ハイスピードカメラ」と3D解析で詳細に記録。

科ごとに異なる「噛みつきの秘密」を明らかにしました。

この成果は2025年10月23日付の『Journal of Experimental Biology』誌に掲載されました。

Ultra-slo-mo reveals how the deadliest snakes make the most of their bites https://newatlas.com/biology/ultra-slo-motion-snake-bites/ High-tech cameras capture the secrets of venomous snake bites https://lens.monash.edu/@science/2025/10/24/1387954/high-tech-cameras-capture-the-secrets-of-venomous-snake-bites
Kinematics of strikes in venomous snakes https://doi.org/10.1242/jeb.250347

超スローモーション映像が捉えた「クサリヘビ」の必殺技

毒蛇研究は古くから人々の関心を集めてきましたが、その「瞬間芸」とも言える噛みつきの実態は、長らく謎に包まれてきました。

主な理由は、動作があまりに速く、肉眼で捉えることが難しいからです。

今回の研究は、この「動体視力の壁」を突破するため、1秒間に1000コマ以上を記録できるハイスピードカメラを2台同時に用い、さらにソフトウェアによる3Dトラッキングで動きを立体的に再現するという、画期的な手法を採用しました。

対象となったのは、世界中から集められたクサリヘビ科31種、コブラ科4種、ナミヘビ科1種、合計36種という前例のない規模です。

獲物役には体温に温めた医療用ゲル(目の模様付き)を使い、ヘビたちの自然な噛みつき行動を誘発しました。

その結果、ヘビの科ごとに異なる噛みつき方があると分かりました。

たとえば、クサリヘビ科(ガラガラヘビなど)が見せた“牙の必殺技”です。

クサリヘビは「可動式の大きな牙」を持ち、噛みつき時に牙を前方に突き出します。

そして、約半数のクサリヘビ科の種で、一度獲物に牙を突き立てた後、角度を変えて再刺入する動きが観察されました。

これは、より深く・効率よく毒を送り込むための行動と考えられます。

また、クサリヘビは「待ち伏せ型」の狩りを得意とし、特に哺乳類など「動きが素早い獲物」を狙う種ほど、噛みつき速度が格段に高い傾向が見られました。

他の2つの科の噛みつき方の違いも見てみましょう。

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