自動車サイズの古代ヤスデ、「顔」が見つかっていなかった
アースロプレウラ(学名:Arthropleura)は和名で「コダイオオヤスデ」と呼ばれるように、ヤスデのグループに属しています。
今から約3億4600万〜2億9000万年前の石炭紀に生息していました。
アースロプレウラの体サイズは種類によって様々ですが、特に巨大なものは成体で全長2メートルを超え、中には全長2.6メートル、体重50キロに達するモンスター級の個体もいたと推定されているほど。
一部のウミサソリと並んで”史上最大級の節足動物”と称されています。
アースロプレウラは当時の大陸配置で見ると、赤道周辺に広がっていた沼地の森林に住んでいました。
そのため、アースロプレウラの体や脱皮の殻が土砂の中に埋没し、無酸素状態で腐敗や分解が防がれて、化石として残りやすくなったのです。
アースロプレウラの化石はその後、大陸移動によって世界各地に移動し、1800年代後半から主に北アメリカとヨーロッパでよく見つかっています。
しかし一方で、胴体部分の化石は数多く見つかっているものの、これまで頭部の完全な化石が見つかっていませんでした。
というのも、アースロプレウラの化石のほとんどは脱皮の際に残された外骨格の殻であり、本体は頭の開口部からモゾモゾと這い出てきたため、頭部の殻が崩れて消えやすかったからです。
それゆえ、アースロプレウラの復元像で見られる頭部はすべて、研究者たちの想像に頼っていました。
しかしロンドン自然史博物館らの研究チームは今回、頭部まで保存されたアースロプレウラの幼体化石を2つ再発見したことで、アースロプレウラの「顔」を初めて復元することに成功しました。