肉を食べる「ミツバチ」は腸内細菌も特殊だったと判明!
ミツバチといえば花の蜜と花粉ダンゴを食べるイメージが一般的です。
花の蜜は炭水化物源、花粉ダンゴはタンパク質源となってミツバチの栄養を満たしてくれます。
そのため普通のミツバチは死んだ動物の肉を食べようとはしません。
しかし一部のミツバチは進化の結果、主食を植物性から動物性に切り替え、肉食ミツバチになりました。
肉を主食にする彼らは死んだ動物や昆虫の肉に食いつく巨大なアゴを進化させ、スズメバチのように肉団子にして巣に運びます。
ですが多くの肉食ミツバチの巣には、人間の食用可能な甘い蜂蜜が存在していることが知られています。
これらの肉食ミツバチは動物や昆虫の肉をタンパク源にするかたわら、可能ならば花や果実などから甘い蜜をすい出し蜂蜜(炭水化物源)にしていたのです。
さらに一部の肉食ミツバチは、集めてきた肉の一部を蜜と混ぜ合わせ「肉団子の蜂蜜がけ」のような状態にして保存することが報告されています。
そんな肉食と蜜の両方を食べる肉食ミツバチですが、食べ物が変化すれば当然ながら腸内細菌も変化します。
そこで今回、カリフォルニア大学が主導する研究チームは、肉食ミツバチの腸内細菌を調べることにしました。
実験にあたっては、鶏肉を糸で縛ってつるした罠を設置し、集まってきた肉食ミツバチを捕えて腸内に住む細菌たちの遺伝子を調べました。
結果、肉食ミツバチの腸内の酸性度が高くなっており、ハイエナやハゲタカなど死肉を食べる動物のの腸に含まれるものと類似の細菌が存在することが判明しました。
主食が植物性から動物性に変化したことで、腸内細菌叢もガラリと変化していたのです。
また肉食ミツバチの肉食度合い(どれだけ肉を主食にしているか)で区分けしたところ、ほとんど肉に頼った生活をしている肉食ミツバチにおいて、最も腸内細菌の変化が激しいことがわかりました。
さらに吊るされた鶏肉を食べている肉食ミツバチの様子を観察すると、研究者たちは非常に興味深い事実に気が付きました。
通常のミツバチの場合、脚にバスケットのような構造があり、そこに花粉団子を作ります。
一方、実験に現れた肉食ミツバチの場合、同じ構造の脚のバスケットに詰め込まれていたのは吊るされていた鶏肉の断片でした。
どうやら肉食ミツバチは花粉の代りに肉を脚に付着させ、持ち帰っていたようです。