・宗教によっては「性的な妄想」を押さえ込むのに苦労している人たちがいる
・「ユダヤ教正統派」において、「性的な妄想」を抑圧する行為が「性衝動」につながっていた
・宗教において、早期からの性教育がなされることが望ましい
不意に繰り広げられる突発的な「エロ妄想」。あなたならどうやって対処しますか?
数式や宇宙の理について、心の中で考えてみるのもいいかもしれません。しかし最新の研究によると、そうやってエロ思考を抑圧しようとすると、逆にエロ思考が加速してしまうことがわかりました。
しかも研究対象は、性に対してかなりストイックな「ユダヤ教正統派」。エロの力は、思ったより強大なのです。
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00224499.2018.1461796
研究はイスラエルの「ユダヤ教正統派信者」と「宗教と距離をおいた世俗的な若者」の、いずれも10代を対象に行われました。
ちなみに「ユダヤ教正統派」の中でも「超正統派」に分類される人々は、そのストイックな姿勢で有名です。戒律を守るためにユダヤ教以外の教えは一切受け入れず、ネットやテレビにアクセスすることもできません。
最初の661人を対象にした調査では、「世俗的な若者」よりも「ユダヤ正統派教信者」のほうが「望まない性的思考・妄想」に悩まされることが多いことがわかりました。
次の522人を対象にした調査では、「ユダヤ教正統派信者」において、そのような「望まない性的思考・妄想」と「低い幸福度」との間に相関関係があることがわかりました。
最後の317人を対象にした調査では、「世俗的な若者」よりも「ユダヤ教正統派信者」のほうが「望まない性的思考・妄想」を抑圧しようと努力していることがわかり、それが「性的衝動(自己申告)」につながっていることがわかりました。
研究をおこなった Beit Berl 大学の Yaniv Efrati 氏自身も宗教信者。彼は、「敬虔な宗教信者は、性的な思考・妄想との付き合い方に悩んでいます。若いうちからそういった側面も含めて、宗教信者に対して性教育をおこなっていくことは重要です」と述べています。
彼はまた、「突然の性衝動といった危険なものを心の中で発展させないためにも、小学生の年からでも正しいマナーを教え込まなければなりません。性衝動に悩む宗教信者の若者は、そのような感情を “恥” や “罪” と感じているのです」と語っています。
押さえ込みすぎるといつか爆発してしまうのは当然です。宗教が絡むと「性」といったそもそもデリケートなトピックがさらに入り組んでしまいますが、人間の自然な欲求である「性欲」を曲がった形で発散させないためにも、「性教育」の役割は重要といえるでしょう。