鉄の雨が降る太陽系外惑星「WASP-76b」
太陽系外惑星「WASP-76b」は、うお座の方向に約640光年離れた位置にある恒星「WASP-76」を公転する惑星として2013年に発見されました。
質量は木星よりもやや小さいガス惑星であり、太陽の1.5倍ほどの重さがある主星を約1.8日で一周しています。
しかも主星からWASP-76bまでの距離はわずか500万kmであり、太陽から地球までの30分の1しかありません。
このような非常に主星に近い場所を回るガス惑星をホット・ジュピターと呼びます。
主星に非常に近いことから、この惑星の平均気温は2000℃近くあり、金属さえが溶けて雲になっているといいます。
またWASP-76bは主星の重力がもたらす潮汐力により、自転周期と公転周期が等しくなっており、常に同じ面を主星に向けています。
(このような現象は「潮汐ロック」といい、月がいつも同じ面を地球に向けているのも、同様の現象から来ています)
そしてこの現象が起きると、惑星上には永遠に昼の地域と、夜の地域が発生します。
WASP-76bでは、主星に絶えず照らされる「昼側(2400℃以上)」と、まったく照らされることのない「夜側(約1500℃)」に分かれており、その温度差は1000℃近くもあるのです。
この極端な温度差は、昼側から夜側へと流れる猛烈な風を発生させており、高温の昼側にある鉄の蒸気が比較的低温の夜側に向かって運ばれていき、境界を越えて凝縮。
WASP-76bの夜側では、鉄の雨が降り注いでいる可能性があるようです。
このような「過酷な惑星」にて、今回新たな発見がありました。
昼側と夜側の境界線で、色鮮やかな光輪が生じた可能性があるのです。