ノイズキャンセリングの歴史
最近のヘッドホンやイヤホンには当たり前のようについているノイズキャンセリング機能ですが、この技術は過去数十年で劇的に進化してきました。
初期のノイズキャンセリング技術は、飛行機のエンジン音などを消すことを目的としていました。
飛行機のパイロットが、飛行中でも正確な通信を行えるように開発されたものだったのです。
その後パイロットだけでなく、航空機客室にも適用され、次第に日常生活でも使用できるヘッドホンやイヤホンが登場するようになりました。
最近では、より高度な環境音の除去が可能になっています。
電車やバスなどの騒音が大きな環境で音楽を楽しみたい場合や、周囲の音を気にせず仕事や勉強に集中したい場合に利用されていますね。
そして、これらノイズキャンセリング技術には、いくつかの方法があります。
例えば、耳を物理的に密閉することで外部のノイズをある程度遮断できます。
また、ノイズに対して逆位相の音を生成し、それをぶつけることで打ち消すこともできます。
実際に最新のノイズキャンセリング技術を体感した人は、騒音がかなり小さくなることに驚くはずです。
しかし、ノイズキャンセリング技術には、まだ課題が残っています。
これまでの技術では、特定の音だけを選択的に聞き取ることはできなかったのです。
そのため、騒音の中で特定の相手と会話を楽しみたい場合には、ノイズキャンセリング機能をオフにしなければいけませんでした。
そこで今回、ワシントン大学のゴラコタ氏ら研究チームは、この「ノイズキャンセリングと会話の二者択一」の課題に果敢に取り組んでいます。