シャチが「人間の言葉」の声マネに成功!
実験に選ばれたシャチは、フランス南部アンティーブの水族館で飼育されていた当時14歳のメス「ウィキー(Wikie)」です。
いきなり人の声マネをさせるのは無理があったため、チームは最初に、他のシャチが発する声(ウィキーがそれまでに聞いたことがないもの)を模倣する訓練をし、成功したらご褒美の餌を与える実験をしました。
そしてウィキーが声マネの訓練に慣れてきたところで、いよいよ本番です。
シャチに文章を喋らせるのは不可能なため、チームはいくつかの短い単語を選びました。
例えば「ハロー」「バイバイ」「エイミー(飼育員の名前)」「ワン、ツー」「アハハ(ah ha)」といったものです。
これらの単語を飼育員のエイミーさんが発話し、それを模倣できたら餌を与える訓練を続けました。
ウィキーの発話はエイミーさんを含む2名の飼育員によって評価され、その後、6名の研究者が録音データの音響パターンを含めて、元の人の音声とどれだけ似ているか(模倣したと言えるか)を判定しました。
その結果、ウィキーはすべての言葉を17回以内の練習で模倣することに成功したのです。
特に「ハロー」に関しては1発目で模倣に成功しており、その後の試行でも50%以上の精度で正しく発音できたことが確認されています。
では実際の音声とその様子を見てみましょう。
(※ イヤホンを推奨します。音量に注意してご視聴ください)
もちろん完璧な再現とは言えませんが、ウィキーが人の言葉を模倣しようとしていることはわかるでしょう。
しかしシャチは海の生き物であり、私たちヒトのように声帯を使った発話はできません。
ですから、先の声マネも決してシャチの口から発せられているわけではありません。
ではシャチはどこから声を出しているのでしょうか?