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Credit: David Álvarez-Alonso et al., Archaeological and Anthropological Sciences(2025)
history archeology

4万3000年前の「世界最古の指紋」を発見!残したのは現生人類ではなかった

2025.05.29 12:00:11 Thursday

約4万3000年前の世界最古となる「指紋」の証拠が発見されました。

スペインのマドリード・コンプルテンセ大学(UCM)によると、同国中部にあるサン・ラサロ岩陰遺跡にて、一見すると何の変哲もない石に奇妙な赤い点が一つ見つかったという。

それを拡大して分析すると、指紋であることがわかったのです。

しかもその指紋をつけたのは現生人類(ホモ・サピエンス)ではありませんでした。

さらにこの指紋をつけた人物は、石を顔に見立てて、指紋を鼻の位置に置いたと見られています。

研究の詳細は2025年5月24日付で科学雑誌『Archaeological and Anthropological Sciences』に掲載されました。

A red dot, a 43,000 year old fingerprint, and a stone out of place—potential evidence of Neanderthal pareidolia https://phys.org/news/2025-05-red-dot-year-fingerprint-stone.html 43,000-year-old human fingerprint is world’s oldest — and made by a Neanderthal https://www.livescience.com/archaeology/43-000-year-old-human-fingerprint-is-worlds-oldest-and-made-by-a-neanderthal
More than a fingerprint on a pebble: A pigment-marked object from San Lázaro rock-shelter in the context of Neanderthal symbolic behavior https://doi.org/10.1007/s12520-025-02243-1

世界最古の指紋を残したのは誰?

スペインの考古学チームは2022年に、サン・ラサロ岩陰遺跡のムスティエ文化層(中期旧石器時代)から、一見ただの石に見える花崗岩の小石を発見しました。

この石は、他の打撃石(ハンマーストーン)と大きさも形状もまったく異なり、表面には何らかの道具として使われた摩耗や損傷などの痕跡は検出されていません。

その一方で、奇妙な特徴が見られました。

石のサイズは縦21.4cm・横11.3cm・高さ7.6cmであり、表面に3つの小さな窪みが並び、中央には赤土でつけられた小さな点が一つありました。

実際の画像がこちら。

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実際の画像/ Credit: David Álvarez-Alonso et al., Archaeological and Anthropological Sciences(2025)

そしてチームが赤土を分析したところ、これは指先の指紋であることがわかったのです。

年代測定によると、この指紋は約4万3000年前につけられたものであり、現時点で世界最古の指紋の証拠となっています。

さらに詳細な画像分析から、この指紋をつけた人物は成人男性のネアンデルタール人である可能性が極めて高いと結論づけられました。

実際にこの地域はネアンデルタール人が暮らしていたことで知られ、他方でホモ・サピエンスの証拠は検出されていません。

こうした点からも、指紋を残したのはネアンデルタール人と見て間違いないようです。

加えて、赤土の指紋は偶然に付着したものではなく、指先で意図的に塗布されたものであることが化学分析から明らかになっています。

酸化鉄系の赤土が指の腹によって均一な力で押し付けられていることが示され、この人物が意図して指紋を残したことが窺えるのです。

では、ネアンデルタール人はこの石に何を見ていたのでしょうか?

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