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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

初期人類は狩る側ではなく「狩られる側」だったと判明

2025.09.26 12:00:04 Friday

私たち人類の祖先は、果たして“狩る者”だったのか、それとも“狩られる者”だったのか。

東アフリカ・タンザニアのオルドヴァイ峡谷で発見された約200万年前の絶滅人類「ホモ・ハビリス(Homo habilis)」の化石。

スペイン・アルカラ大学(Universidad de Alcalá)はこれを最新の人工知能(AI)で解析した結果、初期人類は狩る側ではなく、狩られる側だった可能性が示されました。

これまで「最初の石器製作者」「肉食への転換者」として語られてきたホモ・ハビリスですが、実際には、現代のヒョウなど大型肉食獣にとって格好の“獲物”だったのかもしれません。

研究の詳細は2025年9月16日付で科学雑誌『Annals of the New York Academy of Sciences』に掲載されています。

The hunted, not the hunters: AI reveals early humans were prey for leopards https://phys.org/news/2025-09-hunters-ai-reveals-early-humans.html Leopards may have feasted on our earliest ancestors https://www.popsci.com/science/leopards-ate-early-humans/
Early humans and the balance of power: Homo habilis as prey https://doi.org/10.1111/nyas.15321

AIが暴いた「人類は獲物だった」証拠

研究チームが着目したのは、タンザニア・オルドヴァイ峡谷で見つかった2体のホモ・ハビリス化石です。

一つは約185万年前の幼い子供「OH 7」で、もう一つは約180万年前の成人個体「OH 65」でした。

この2体の骨には、目視でも分かる“歯型”が残っていましたが、「どの動物によるものか」は、これまで長年はっきりしませんでした。

チームは、現代のヒョウ、ライオン、ワニ、ハイエナ、オオカミといった肉食獣が残す歯型の写真を1,496枚も集め、それをAI(ディープラーニング)で学習させました。

そして最新のAIモデル(ResNet-50やDenseNet-201など)に、ホモ・ハビリス化石の歯型画像を読み込ませて分析。

すると2つのモデルがともに「骨に残された歯型は、90%以上の高確率でヒョウによるもの」と判定したのです。

特に、骨に残る歯型が三角形のくぼみで、現生ヒョウのサンプルと一致していた点が決め手となりました。

もしハイエナのような骨を噛み砕く動物が咬んでいたなら、化石骨はもっとバラバラになっていたはずです。

しかし、損傷は比較的軽微で、ヒョウが肉を食べる際に残す特徴と完全に合致していました。

このことは、当時のホモ・ハビリスが「捕食者として頂点に立っていた」のではなく、むしろヒョウなどに狙われる“弱い立場”だった可能性を示唆しています。

次ページ「人類が頂点に立つ」のはもっと後の時代だった?

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