性格と高血圧、無関係ではなかった
研究チームは今回、日本国内で大規模な健康関連データベースを運用するNTTデータ経営研究所の協力を得て、2019年から2022年までの縦断データを解析しました。
対象となったのは、当初5万人以上いた回答者のうち、4年連続で調査に参加した7,321人。
データは毎年8月から9月にかけてオンラインで収集され、性格評価には心理学で広く用いられる「ビッグファイブ理論」の簡易版であるTIPI-J(Ten-Item Personality Inventory – Japanese)が使われました。
ビッグファイブとは、人間の性格を「誠実性」「協調性」「外向性」「開放性」「神経症傾向」の5つに大きく分類するモデルで、心理学や健康科学の研究で広く活用されている理論です。
具体的には以下の通り。
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誠実性(Conscientiousness)
・計画的で几帳面、責任感が強く、自制心がある傾向を指します。
・高い人は目標に向けて努力し、健康的な生活習慣を守りやすいとされます。 -
協調性(Agreeableness)
・思いやりがあり、他人に優しく、信頼しやすく、対人関係を大切にする傾向を指します。
・高い人は争いを避け、円滑な人間関係を築きやすいです。 -
外向性(Extraversion)
・社交的で活発、エネルギッシュで人との関わりを好む傾向を指します。
・高い人はポジティブな感情を感じやすく、多くの刺激を求める傾向があります。 -
開放性(Openness to Experience)
・新しい経験やアイデア、芸術、冒険などに対して好奇心が強く、柔軟な考え方を持つ傾向を指します。
・高い人は創造性に富み、独創的で、新しい物事に対して開かれています。 -
神経症傾向(Neuroticism)
・ストレスや不安、怒りなどのネガティブな感情を感じやすい傾向を指します。
・高い人は感情が不安定で、落ち込みやすい傾向があります。

また、高血圧については2つのカテゴリが設定されました。
1つ目は「新規発症高血圧」──ベースライン時には正常血圧だった人が、後の年に高血圧と診断されたケース。
2つ目は「持続性高血圧」──2019年時点ですでに高血圧であり、その後も改善されなかったケース。
チームは、年齢や性別、運動習慣、学歴、収入などの人口統計的な要素を統制した上で、それぞれの性格特性が高血圧リスクにどのように関連しているかを調べました。
その結果、最もはっきりとした影響が見られたのが「誠実性」と「開放性」でした。