恋人に言うべきでないこと②:非建設的な批判
2つ目に言わなくてもよいとされるのは、非建設的な批判です。
恋人とは正直であるべきだと考える人は多いですが、心理学の研究は、批判が相手にどう届くかは正論かどうかではなく、言葉に含まれる感情の質によって大きく左右されることを示しています。
たとえば、相手の習慣に不満があるときに「あなたはいつも無駄遣いばかりだね」とか、「そんなもの食べていたら身体に悪いよ」と伝えると、本人は助言のつもりでも、相手はその言葉をほとんどの場合で“攻撃”として受け取ります。
2016年の研究では、パートナーの発言を”敵意”として受け取ると、関係への満足度が低く、心理的な健康も損なわれやすいことが示されています。
また、この研究は、言葉がどう受け止められるかは、発言する側と受け取る側の双方がどれだけ感情をうまく調整できているかに強く左右されると指摘しています。
感情を抑え込む傾向がある人は、内側の苛立ちが言葉の端々ににじみやすく、意図せず冷たく刺すような表現になってしまうことがあります。
一方で、発言前に気持ちを整理するのが得意な人は、同じ内容であっても相手を思いやる形で伝えられるため、批判が比較的“支援”として受け取られやすくなります。
つまり、あなたが怒りや苛立ちに駆られて発言した時、相手はほぼ確実にそのことに気づき、関係に悪影響を及ぼします。
だからこそ、恋人に対して頼まれてもいないアドバイスを与える前に、「これは相手を助けたいから言うのか、それとも、ただ自分が正しいと思っているからそのことを口に出すのか」と自分自身に問いかける必要があります。
もし、自分の動機が後者に傾いているなら、それは「建設的ではない批判」になってしまうことでしょう。黙っておくのが最善です。
考慮してきた2つの点から分かる通り、恋人との関係ではすべてを正直に言うことよりも、言葉を選ぶ判断力こそが関係を深める力になります。
身体の変化をむやみに指摘せず、非建設的な批判を控えることは、相手に安心感を与えることに繋がります。
時に沈黙は、「逃げ」ではなく「深い思いやり」なのです。




























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