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話題沸騰の人気コンテンツを逆に見たくなくなる心理 (2/2)

2026.01.24 12:00:06 Saturday

前ページ批評家ぶってしまう心理の理由

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「みんなと同じ安心感」と「自分だけ特別」の最適点を探している

流行を拒絶するということは、多くの人との共通の話題を捨てることであり、孤立を招くおそれがあります。

しかし人間には他者とのつながりを求める「関係性(Relatedness)」という心理的欲求があり、多くの人は自律性やユニークさの欲求より、こちらの欲求が大きいので「そんなに話題ならちょっと見てみるか」となります。

では、流行を拒絶する人というのは、孤立をおそれず関係性の欲求がない人たちなのでしょうか?

実はそういうわけではありません。ここには、人間関係における非常に興味深いパラドックス(逆説)が存在します。

私たちは「仲間外れになりたくない」と願う一方で、「その他大勢の中に埋没して、自分らしさを失いたくない」とも強く願っているのです。

この相反する欲求のバランスを説明するのが、アメリカの社会心理学者マリリン・ブリュワー(Marilynn Brewer)博士が提唱した「最適弁別性理論(Optimal Distinctiveness Theory)」です。

ブリュワー博士は、人が社会集団に所属する際、「同化(みんなと同じ安心感)」と「差別化(自分だけの特別感)」の両方が満たされる、ちょうどいい湯加減のような場所(最適点)を探し続けていると論じました。

この理論を「流行」に当てはめてみましょう。

世界的な大ヒット作品などの「巨大すぎる流行」の輪に入ることは、数千万人規模の集団に「同化」することを意味します。 そこでは「みんなと一緒」という安心感は得られますが、集団があまりに巨大すぎるため、自分が「その他大勢」の一部になってしまい、「差別化(自分たちの特別感)」が満たされません

逆に、たった一人で孤立してしまうと、差別化は極端に高まりますが、「同化」が満たされず不安になります。

そこで、彼らが選びやすい落としどころの一つが、「アンチ派閥」や「マイナー愛好家」という『適度なサイズの少数派グループ』に所属することなのです。

「みんなが知らないマイナーな作品」を推したり、「流行りの作品をあえて批判する」という立場を取ったりすることは、社会心理学の視点で見れば、「巨大すぎるチーム(大衆)」から脱退し、「選ばれた少数のチーム(通な人たち)」に移籍する行為だと言えます。

この「少数派チーム」の中であれば、大衆とは違うという「差別化」を満たしつつ、同じ価値観を共有する仲間との連帯感(同化)も同時に得ることができます。

つまり、彼らは決して孤独になりたいわけではありません。

「大衆」に埋没するのを避け、「居心地の良いサイズの集団」に所属し直そうとしているのです。

多くの人は流行りのものに対して、ぼんやりとではあっても嫌悪感や、抵抗を感じていると思います。その背景にはこのような人間の基本的心理欲求が隠れていると考えられます。

もちろん物事の感じ方は人それぞれなので、流行に乗れなかったとしても何もおかしなことはありません。

しかし、ここで述べたような欲求が強すぎる人たちは、無自覚なまま過激なアンチ活動に走ってしまうおそれもあるので注意が必要です。

ただこうした心理メカニズムを理解すると、流行に背を向ける人たちの態度も、自分の居場所を探す人間らしい行動として映るようになるかもしれません。

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