アナログ時計を読めない生徒たち
ニューヨーク市では、2025年9月から公立学校でのスマートフォン使用を大きく制限する方針が始まりました。
いわゆる「bell-to-bell」と呼ばれる仕組みで、始業のベルが鳴ってから終業のベルが鳴るまでのあいだ、生徒はスマホを取り出せません。
授業中だけでなく、休み時間や昼休みも基本的には同じです。
このルールは、授業中の集中力の低下や、SNSを通じたトラブルを減らすことを目的としたもので、州知事や教員組合も支持しています。
導入後、すぐに良い変化も見え始めました。
休み時間には運動場でスポーツをする生徒が増え、廊下や食堂では、以前よりも生徒同士の会話が活発になったといいます。
トランプやボードゲーム、ドミノといったアナログな遊びも人気を取り戻し、ある高校生は「前よりスクールスピリットが高まった」と話しています。
しかしその一方で、教師たちは思いがけない問題に直面します。
授業中や休み時間に、生徒から「今、何時ですか?」と繰り返し聞かれるようになったのです。
教室や廊下には、以前から壁掛けのアナログ時計が付いています。
にもかかわらず、多くの生徒は時計を見ても時間が分からず、先生に直接確かめるしかありませんでした。
ある英語教師は、あまりに質問が多いため、ついには「長い針はどれ?短い針はどれ?」と、いちから説明するところから始めざるをえなくなったと話しています。
ここで重要なのは、ニューヨークの学校では時計の読み方そのものは小学校1〜2年生で教えられているという点です。
つまり問題は、「誰も教えてこなかった」という部分ではありません。
小さい頃に一度は学んだものの、その後スマホやデジタル時計だけを見る生活になったことで、アナログ時計を読む機会がほとんどなくなり、身についたはずの力が使われないまま薄れてしまった可能性が高いのです。
スマホの画面では、数字を一瞬見るだけで正確な時刻が分かります。
針の位置や角度から時間を読み取る必要はありません。
その便利さの裏側で、アナログ時計を読むという、少し手間のかかるスキルは、いつの間にか日常生活から追い出されていたと考えられます。
では、この出来事は私たちに何を教えているのでしょうか。
























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