「テクノロジーに任せるべきこと」と「人間が行うべきこと」を問う
教師たちが強く感じているのは、生徒の能力が極端に低いというよりも、「できていると思っていたことが、実はできていなかった」というズレです。
時間を気にする感覚や、授業があと何分で終わるかを知りたい気持ちは、今の生徒たちにも当然あります。
しかし、その前提となるアナログ時計の読み取りだけが抜け落ちていたことに、現場は驚きを隠せません。
しかも、この問題はニューヨークだけにとどまる可能性は低いと見られています。
アメリカではすでに31の州とワシントンD.C.で学校内のスマホ利用に何らかの制限が導入されています。
さらにカリフォルニア州でも、2026年7月までに、すべての学区がスマホに関する方針を定めることになっています。
つまり、ニューヨークで起きたことは、今後ほかの地域でも表面化するかもしれない「氷山の一角」として受け止められているのです。
このニュースが報じられると、インターネット上ではさまざまな意見が交わされました。
「使わない力は衰えるのだから、アナログ時計が読めなくなるのも自然だ」という声もあれば、「そもそもアナログ時計を読む力は、今の時代にどこまで必要なのか」と疑問を投げかける意見もあります。
また、「時計の問題は、もっと広い教育の問題の一例にすぎない」という見方もあります。
昔は当たり前に使われていたさまざまな技能や道具の扱いが、生活環境の変化によって忘れられていくのではないか、という懸念です。
この視点では、「一度教えれば終わり」ではなく、日常の中でどう使われ続けるのかまで含めて教育を考える必要があるとされています。
さらに、スマホ禁止そのものについても評価は分かれています。
ある高校生は、スマホが手元にないことで授業に集中しやすくなったと感じる一方で、学校でデジタルノートを使えなくなり、通学時に多くのノートを持ち歩かなければならなくなった不便さも語っています。
こうして見ていくと、「アナログ時計が読めない」という話は、単に時計の読み方をもう一度教えれば解決する問題ではないのかもしれません。
私たちが「これくらいは誰でもできる」と思い込んでいる力も、日常生活の中で使わなければ、意外なほど簡単に弱くなってしまいます。
今回のニューヨークの事例は、どの力をテクノロジーに任せ、どの力を人間の側に残して育てていくのかを、私たちに問いかけているのかもしれません。
























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