規則に従って刻まれていた「幾何学模様」
今回の研究の対象となったのは、約6万年前のホモ・サピエンスが刻んだダチョウの卵殻です。
これらは南アフリカのディープクルーフ遺跡やクリップドリフト遺跡、ナミビアのアポロ11洞窟などから発見されており、当時は水を運ぶ容器として使われていたと考えられています。
これまで、こうした刻線は「装飾」あるいは「象徴的な印」として扱われてきましたが、それがどれほど体系的なものだったのかは明確ではありませんでした。
そこで研究チームは、112点の卵殻片に刻まれた線を対象に、幾何学的かつ統計的な分析を実施。
具体的には、線の角度や平行性、配置の規則性などを定量的に測定し、それが偶然の産物なのか、それとも意図された構造なのかを検証したのです。

その結果は驚くべきものでした。
刻線の80%以上において、平行線の反復や直角に近い交差など、明確な空間的ルールが確認されたのです。
さらに、斜線の帯(ハッチング)や格子、菱形模様といった複雑なパターンも見つかりました。
これらは単なる思いつきではなく、一定の規則に従って繰り返し構成されたものです。
つまり、6万年前の人々は「線を引いていた」のではなく、「ルールに従って図形を構築していた」ことになります。




























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