「歯周病菌を"狙い撃ち"」する新しい歯磨き粉が登場――善玉菌は減らさない
「歯周病菌を"狙い撃ち"」する新しい歯磨き粉が登場――善玉菌は減らさない / Credit: PerioTrap
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歯周病菌を「狙い撃ち」する新しい歯磨き粉が登場――善玉菌は減らさない (2/2)

2026.05.05 21:30:57 Tuesday

前ページ従来の治療は「街ごと焼き払う」方式だった

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悪玉菌だけを狙う歯磨き粉を開発

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オレンジ色のかたまりが、歯周病の主犯格ポルフィロモナス・ジンジバリス。それを取り囲むように散らばっている青い小さな粒が、新たに開発された化合物「グアニジノエチルベンジルアミノイミダゾピリジン酢酸塩」です。化合物が悪玉菌の動きを抑えている隣で、緑や黄色の善玉菌たちは平和に暮らしています。Credit: PerioTrap

殺さずに「増えられなくする」新発想

そこで登場するのが、ドイツの研究チームです。

フラウンホーファー細胞療法・免疫学研究所(IZI)ハレ支所の研究チームは、この問題に対してまったく新しい解決策を見つけました。

彼らが特定した化合物の名前は「グアニジノエチルベンジルアミノイミダゾピリジン酢酸塩」。

この物質のすごいところは、悪玉そのものは殺さず、その”増殖する力”と”毒を出す力”を抑えてしまう点にあります。

悪玉菌は生きてはいるものの、悪さがしにくく、仲間も増やしにくい、いわば”おとなしくさせられた”状態に近づくのです。

ここで「殺しちゃったほうが早くない?」と思う方もいるかもしれません。実はそこにこそ、この研究の核心があります。

細菌を殺すと、死んだ菌が占めていたスペースや栄養が一気に「空き地」になります。

すると口の中で陣取り合戦が始まるのですが、先ほど説明した通り、この競争では悪玉菌のほうが圧倒的に有利です。

炎症を起こした歯茎は、ポルフィロモナス・ジンジバリスにとってまさに居心地のよい繁殖地。善玉菌よりもはるかに速く増殖し、あっという間に元の不健康な状態に戻ってしまいます。

しかし「殺さずに無力化する」方式なら、この問題が起きません。

悪玉菌はまだそこにいるので、急激な「空き地」は生まれない。

しかし増殖の勢いと毒素の働きが抑えられるため、新しい仲間を一気に増やすことが難しくなります。

その間に、増殖は遅いけれどもコツコツ型の善玉菌たちが、これまで悪玉菌に占領されていた生息場所に少しずつ入り込んでいけるのです。

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寒天培地で育てられたポルフィロモナス・ジンジバリス。研究室では、こうして実際の悪玉菌を育てながら、新化合物がどれくらい効くのかを地道にテストしていきます。「殺すのではなく、おとなしくさせる」という発想は、こうした試験管の中での無数の検証を経て、ようやくチューブの中の歯磨き粉になっていくのです。Credit: Nilz Böhme

急激なリセットではなく、ゆるやかな政権交代。これが、リバウンドを抑える狙いです。

こうして口の中のバランスを、力技ではなく自然な形で本来の姿へ近づけることを目指しています。

フラウンホーファーIZIの部門責任者であるシリング氏はこう語っています。

「この物質は病原菌を殺すのではなく、増殖を阻害します。毒性を発揮できなくなった病原菌のおかげで、善玉菌がこれまでアクセスできなかった場所にも入り込めるようになります。こうして健康な細菌と協力しながら、口内の微生物バランスを穏やかに回復させるのです」

研究室から歯磨き粉チューブへ

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ドイツの研究室で生まれた青い化合物が、ようやくチューブの中に収まりました。左が日常使いの歯磨き粉「PerioTrap」、右が歯科医院でクリーニングを受けたあとに使うプロフェッショナル用のケアジェル。すでにヨーロッパの一部市場で販売されています。Credit: PerioTrap

この技術の種は、EUの資金による国際共同研究プロジェクトから生まれました。

2018年、研究成果を実際の製品にするため、ドイツのハレにPerioTrap Pharmaceuticals GmbHというスピンオフ企業が設立されます。同社はフラウンホーファーIZIおよびフラウンホーファー材料・システム微細構造研究所(IMWS)と協力して、マイクロバイオームに優しい歯磨き粉の開発に着手しました。

しかし、「効く物質を見つけた!」から「安全に毎日使える歯磨き粉にする」までの道のりは簡単ではありません。

製品化にはいくつもの条件をクリアする必要がありました。

まず、有害な細菌をブロックしつつも人体に毒性がないこと。そして体内に吸収されたり血流に入り込んだりしないこと。さらに歯を変色させないこと。日常的に口に入れるものですから、当然の要求ですが、これらすべてを同時に満たすのは技術的に大きなチャレンジでした。

フラウンホーファーIMWSは、走査型電子顕微鏡や化学分析といった高度な分析技術を駆使して、歯磨き粉の各配合が歯や歯茎に与える影響を詳細に評価。最終的に「配合は適切か?歯や歯茎と相性が良いか?」という問いに、材料評価の面から科学的な回答を出しました。

同研究所のアンドレアス・キーゾウ氏はこう述べています。

「簡単に言えば、最終的にその歯磨き粉が機能するかどうかを私たちが判定するということです」

また、すべての試験は優良試験所規範(GLP)という国際的な品質基準に則って行われており、シリング氏は「単に新しい成分を入れた歯磨き粉ではなく、医療グレードの品質を持つオーラルケア製品を開発した」と強調しています。

開発チームは現在、歯磨き粉に加えて、専門家による歯科クリーニングのあとに塗るケアジェルも開発済みで、さらにマウスウォッシュも開発を進めています。

さらに、犬や猫の歯周病も人間とよく似たメカニズムで起きるため、ペット用ケア製品の開発も視野に入っているそうです。

これまでの口腔ケアでは、殺菌を重視する製品が目立っていました。

しかし、口の中にも腸と同じように大切な「常在菌のバランス」があることがわかってきた今、今回の技術が示す方向性は、殺菌力だけでなく選択性を重視することです。

悪い菌だけを狙い、良い菌と共存する。この新しい歯磨き粉は、まさにそうした「マイクロバイオーム時代のオーラルケア」の先駆的な試みの一つと言えるでしょう。

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歯周病菌を「狙い撃ち」する新しい歯磨き粉が登場――善玉菌は減らさない (2/2)のコメント

ゲスト

商品名教えてよ

ゲスト

でもお高いのでしょう?
フラウンホーファーっていうとmp3時代のイメージがどうしても…。

ゲスト

化学成分で攻める方法でしたか。

そろそろ遺伝子改良+バクテリオファージで攻めるのが実用段階になってくるのではないかと期待しているところです。
どれか1つにこだわる必要はなくて、組み合わせることでより効果は高まりますから、手段は多い方がいい。

ゲスト

滅菌してから善玉菌移植じゃダメなん?

マスター

日本で買えるのか?
買えないなら意味がない
購入方法は?

teatime

虫歯菌も遺伝子レベルで改変して酸を生成できない虫歯菌にしたらどうだろう?従来の虫歯菌より生存力が強くないと入れ替わらないけど。

ゲスト

虫歯や歯周病になる方はそれなりの口腔ケア法なので
どんなに効果的な歯磨き粉が登場したところで
問題となっている原因と異なっているため改善は難しいと思います

歯周病が原因でインプラントにしたところで
間違った口腔ケア法を継続するので
さらに歯茎が下がり今度は土台から崩壊してしまいます

あくまでケア方法の一つであって
発生原因を改善しているわけではないので
問題の解決には至りません

ねいごす

そうなんだ
ホント いつ発売?
でも
歯根細胞活性化させて ホントの歯を
復活させる方がイイな
IPS細胞使って歯を作って植え込むとか ま〜だなのかな?
誰か研究して居られるのかな~?

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