超音波が生み出す”常温”のエスプレッソ
一般的なエスプレッソは、細かく挽いたコーヒー粉をバスケットに入れ、タンピングして固めたうえで、90℃台の熱いお湯を高い圧力で押し込んで作られます。
この方法では、熱によってコーヒー成分が溶け出しやすくなり、圧力によって短時間で濃い液体を抽出できます。
その結果、強い香り、苦味、油分、独特のボディ感をもつエスプレッソが生まれるのです。
一方、常温や低温の水でコーヒーを抽出する場合、一般には長い時間が必要になります。
いわゆるコールドブリューは、なめらかで穏やかな味になりやすい反面、通常は12〜24時間ほどかかり、エスプレッソのような濃さも得られません。
今回研究チームは、「常温でも比較的短時間でエスプレッソを抽出できる」方法として、超音波に注目しました。
使われた装置では、コーヒー粉を入れるバスケットの外側に金属製のホーンを接触させ、42.6kHzの超音波を直接伝えます。
すると、バスケットそのものが細かく振動し、内部の水とコーヒー粉に音のエネルギーが伝わるのです。
このとき液体の中では、微小な泡が生まれて崩壊する現象「超音波キャビテーション」が起こっています。
泡が崩壊すると、コーヒー粉の表面に強い水流や細かな衝撃が加わり、香りや味に関わる成分を含むコーヒー成分が水に移りやすくなると考えられます。
つまりこの方法は、熱で抽出を進めるのではなく、超音波が生み出す微細な泡と流れで、コーヒー粉から成分を引き出す新しい淹れ方なのです。




















































