画像
Credit: canva
science

なぜ鮮度の落ちた卵は水に浮くのか?

2023.01.02 Monday

卵の鮮度を見究めるには、コップ一杯の水に浮かべてみるといいと言われます。

これは新鮮な卵ほどコップの底に沈み、反対に鮮度の落ちた卵ほど水に浮きやすいからです。

では、なぜ鮮度の違いによって卵の浮き沈みに違いが出るのでしょう?

また、水に浮いてしまう卵は食べない方がいいのでしょうか?

Why Do Old Eggs Float? https://www.scienceabc.com/eyeopeners/why-do-old-eggs-float.html

鮮度の落ちた卵が水に浮く理由とは?

卵の中身は主に、卵黄白身、そしてごく小さなエアポケット(気室)から成り、それらが合わさって全体の質量を構成しています。

産みたてで鮮度の高い卵はエアポケットが非常に薄く、平均して3.175ミリ以下となっています。

よくある誤解は「卵の中にエアポケットがあるから水に浮くのだ」という指摘です。

しかしそうだとしたら、鮮度の良し悪しに関係なく、どの卵も浮いてしまうでしょう。

タマゴの断面図
タマゴの断面図 / Credit:独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場

鮮度のいい卵を水の中に入れたら分かるように、決まって底の方に沈んでいきます。

これは新鮮な卵の密度が水の密度よりも大きいからです。

密度とは「質量を体積で割ったもの」で、卵の質量が大きければ大きいほど、密度も大きくなります。

ところが卵の鮮度が落ちると、卵黄と白身が分解され、質量の一部が気体に変わり始めます。

したがって、鮮度の落ちた卵では気体の量が増える分、エアポケットの割合が大きくなるのです。

とすると、エアポケットが大きくなったから、古い卵は浮き輪のように水に浮いてしまうのでしょうか?

実はそうではありません。

本当の答えは、エアポケットの増加ではなく、「卵の殻」にあります。

鮮度が落ちると、卵内部のエアポケットが大きくなる
鮮度が落ちると、卵内部のエアポケットが大きくなる / Credit: canva

卵の殻は多孔質で、微小な穴がたくさん空いており、これがエアポケット内の気体を外に逃す役割を果たしています。

「穴の存在によって、逆に外から卵の中に空気が入り込むこともあるのでは?」という意見がありますが、これは部分的には正しいようです。

しかし専門家によれば、「結局のところは、外に逃げる量の方が内に入る量よりも多いため、鮮度が落ちた卵の質量は小さくなる」といいます。

ここで先ほどの密度の式に戻ってみましょう。

卵の体積は殻があるため、ほぼ一定に保たれますが、気体が抜けることで卵全体の質量が減り、それに応じて密度も小さくなります。

これが水の密度を下回ることで、鮮度の落ちた卵が水に浮き始めるのです。

次ページ水に浮いた卵は食べられないのか?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

サイエンスのニュースscience news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!