超音波により「常温では難しかった濃い抽出」に短時間で到達、消費エネルギーも低い
研究チームは、この超音波抽出で本当にエスプレッソに近い濃さが得られるのかを確かめるため、コーヒーの総溶解固形分(TDS)などを測定しました。
TDSは、飲み物の中にどれだけコーヒー成分が溶けているかを示す指標です。
エスプレッソは一般にこの値が高く、論文ではおよそ8〜12%がエスプレッソの範囲として扱われています。
実験の結果、超音波を使った場合、細かい挽き目では2分でTDSが8.80%に達し、3分では条件によって9%台後半まで上がりました。
一方、同じ常温条件で超音波を使わない場合、抽出は途中で頭打ちになり、コーヒー粉から取り出せる成分の量も十分には増えませんでした。
つまり、単に常温水で長く待てばよいのではなく、超音波の作用が抽出を押し上げていたと考えられます。
さらに100人の一般的なコーヒー飲用者を対象にした官能評価では、両方を22℃にそろえて飲み比べた条件で、通常のエスプレッソと超音波で抽出したコーヒーのあいだに、香り、風味、苦味、総合的な好みに有意な差は見られませんでした。
ただしこれは、熱いエスプレッソとしての飲用体験まで完全に同じだと示したものではありません。
それでも、常温水から2〜3分でエスプレッソ強度の抽出に到達し、主要な味の評価でも大きな差が出なかった点は注目に値します。
加えて、同程度の濃さの飲料を作る実験条件では、超音波システムの消費エネルギーは従来のエスプレッソマシンの24.3%にとどまりました。
これは、ボイラーや金属部品を加熱し続ける必要がないためです。
こうしたメリットは、コーヒー製品を大量に作る企業にとっても魅力的かもしれません。
コーヒー抽出の常識を見直す技術として、今後の発展が注目されます。




















































