1日の間に2年が過ぎる灼熱惑星を発見か──ガス巨星に異常な自転
1日の間に2年が過ぎる灼熱惑星を発見か──ガス巨星に異常な自転 / Credit: Keith Miller (Caltech/IPAC – SELab)
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1日の間に2年が過ぎる灼熱惑星を発見か──ガス巨星に異常な自転 (3/3)

2026.06.23 19:30:09 Tuesday

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もし自転が本当に遅いのなら、なぜなのか?

もし自転が本当に遅いのなら、なぜなのか?
もし自転が本当に遅いのなら、なぜなのか? / Credit:Canva

しかし、ここで新しい疑問が浮上します。

そもそもCoRoT-2 bは、なぜ今も同期していないように見えるのでしょうか?

潮汐固定の理論によれば、ホットジュピターのような近距離・大質量のガス惑星は、わずか数百万年程度で同期回転状態に落ち着くはず、と計算されています。

CoRoT-2の母星は確かに若いですが、それでも年齢は1〜3億年。

同期回転に落ち着くのに必要な時間の、ゆうに数十倍は経過しているのです。

「もうとっくに同期しているはずなのに、同期していない」――これは新しいタイプの謎です。

研究チームはいくつかの可能性を挙げています。

ひとつは、熱潮汐と呼ばれる現象です。

主星の強烈な光で温められた昼側の大気はわずかに膨らみ、その「膨らみ」が惑星の自転に対してトルク(回転を変える力)をかけることが理論的に予測されています。

この力がうまく働けば、いったん同期した惑星を、再び同期から引き離すことができるかもしれません。

コラム:金星も「1日」が「1年」より長い

実はこの熱潮汐は、私たちのすぐ近くにある惑星の謎を解く鍵としても注目されています。金星です。金星は自転がきわめてゆっくりで、1回転するのに約243日――太陽を1周する約225日よりも長くかかります。金星もまた、「1日が1年より長い」星なのです。異常な遅さを左右する有力な要因の一つが、分厚い大気が太陽に熱せられて生じる熱潮汐ではないか、と考えられています。CoRoT-2 bで疑われている仕組みと同じものが、私たちの太陽系の隣人でも働いているのかもしれません。

もうひとつは、磁気的なトルクです。

さきほどの「風を反転させる磁場」とは別の働きとして、磁気的な相互作用が、自転にブレーキでもアクセルでもない、不思議な押し引きをもたらす可能性です。

さらに研究チームが注目したのは、CoRoT-2 bの軌道がほんのわずかに楕円形であるという事実です。

きれいな円ではなく、ほんの少しだけゆがんでいる。

このゆがみは、潮汐の作用が今も続いていることを示すサインかもしれません。

もう一つ排除しきれないのが、惑星の自転軸が大きく傾いている可能性です。

いわば天王星のように「横倒し」に近い姿勢で回っている場合にも、観測される自転速度は小さく見えます。

CoRoT-2系は若いため、自転軸の傾きがまだ修正されずに残っている余地があるのです。

「のろま自転」と「横倒し自転」を完全に見分けるには、さらなる観測が必要になります。

なお、今回の「自転が予想より遅い」という結果は、どれくらい確かなのでしょうか。

科学者は、その確かさを「σ(シグマ)」という物差しではかります。

今回の値は2.6σで、これは「もし本当は同期して回っているのなら、これほどのズレがまぐれで現れるのは100回に1回ほど」という意味です。

十分に確実な数値に思えますが、物理学の世界で「確実な発見」と認められるには、5σ――まぐれなら数百万回に1回しか起きないほどの確かさ――が必要になるのがふつうです。

2.6σは、そこにはまだ届いていません。

そのため論文は、今回の結果を「有力な手がかり」とは認めつつも、「決定的な証拠」と呼ぶにはまだ一歩足りない、と慎重な姿勢を保っています。

しかし、潮汐固定が「当然」でないケースがあるという今回の知見は、この惑星だけの話にとどまりません。

宇宙で最も数の多い小さな恒星(M型矮星)のまわりでは、生命が存在しうる領域にある惑星も潮汐固定されやすいと考えられています。

固定されているか否かで惑星の気候はまったく変わるため、今回のような検証は、将来、生命を宿しうる惑星の気候を正しく読み解くための、基礎にも関わる一歩なのです。

ケッセリ氏はこう語っています。

「私は変わった惑星、つまり標準的なイメージに当てはまらない惑星を見つけて、謎を解き明かすのが本当に好きなんです」

1日の間に2年が過ぎてしまう惑星。

その時間の逆転が何によって生まれたのか、最終的な答えはまだ出ていません。

しかし「変わり者」を丁寧に調べることが、宇宙の惑星すべてを理解する道を切り開く――今回の研究は、そのことを改めて教えてくれています。

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