「第三の眼」をもつ神秘のムカシトカゲ
ヘンリーの面白さは、個体としてのエピソードだけではありません。
そもそも「ムカシトカゲ」という生き物自体が、非常に奇妙です。
名前には「トカゲ」とありますが、ムカシトカゲはトカゲではありません。
彼らはムカシトカゲ目と呼ばれる古代爬虫類のグループに属しています。
この系統は、トカゲやヘビの祖先と非常に古い時代(約2億5000万年前)に分かれたもので、現在ではムカシトカゲだけが生き残っています。
そのためムカシトカゲはしばしば「生きた化石」と呼ばれます。
見た目はトカゲに似ていても、進化の歴史をたどれば、まったく別系統の古代的な爬虫類なのです。

さらにムカシトカゲには、頭頂部に「第三の目」と呼ばれる器官があります。
これは頭頂眼と呼ばれ、明暗を感じ取ることができるとされています。
人間の目のように景色を見るものではありませんが、基本的なレンズや網膜、神経接続を備えた不思議な器官です。
また成長が非常に遅く、長寿であることも大きな特徴です。
ムカシトカゲは100歳を超えても繁殖できる可能性があり、200年近く生きるともいわれます。
ヘンリーの111歳での初めての父親デビューは、例外的なニュースであると同時に、ムカシトカゲという生物の驚くべき長寿性を象徴する出来事でもあります。
2024年、ヘンリーは他のムカシトカゲたちとともに、ニュージーランド南島、インバーカーギルのクイーンズ・パーク動物保護区にある新しい屋外型の飼育施設へ移されました。
現在はミルドレッドや、もう1匹のメスであるルーシーとともに暮らしていると報じられています。
かつては孤独で気難しい個体だったヘンリーは、今ではニュージーランドを代表する人気者となりました。
ハリー王子と対面したこともあり、ドキュメンタリー作品にも登場しています。
その姿は、単なる長寿動物という枠を超え、ニュージーランド固有の自然の不思議を伝える象徴になっているのです。
ヘンリーの物語が教えてくれるのは、生命の時間感覚は私たち人間の尺度だけでは測れないということです。
推定130歳前後となっている現在も、ヘンリーは静かに生き続けています。
長い進化の歴史を背負ったその小さな体は、まるで「生きる時間の長さ」そのものを私たちに見せているようです。





























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