動物の感情に対する理解は飛躍的に進歩した
近年の行動学の進歩により、動物の感情に対する理解が急速に高まっています。
特に実験動物であるマウスに対しては研究がの進歩が顕著です。遊んでいるとき、エサや薬物を受け取っているとき、交配しているとき、うつ状態のときなど、様々な感情を誘発させ、その鳴き声や行動パターンが分析されてきました。
また過去に記事にした研究では、上の図のように、機械学習によってマウスの表情を読み取ることに成功。さらに生きたまま脳に差し込んだ電極で神経活動を測定することで、痛み・苦しみ・恐怖・嫌悪といった各感情のコードを読み取ることもできています。
逆にこのコードをマウスの脳に電気パルスとして流し込むことで、マウスに感情を強制することにも成功しているのです。
これら近年の目覚ましい成果により、マウスはポジティブで愉快な状況に置かれた時に、人間の耳には聞こえない50キロヘルツの高さの鳴き声をあげていることが判明しました。
人間の耳が感じ取れる可聴領域は20ヘルツから20キロヘルツと言われており、50キロヘルツの笑い声は超音波であるため人間は直接聞くことはできません。
しかし数々の実験結果が指し示す状況証拠からみて、この超音波の鳴き声が「笑い声」であると多くの研究者が予想しています。
一方、マウスは優しく「くすぐられた」ときにも同じ50キロヘルツの笑い声をあげることが知られていました。
くすぐられて笑い声をあげる様子は非常に人間らしい反応ではありますが、研究者たちはこの笑い声が純粋にマウスが楽しんであげている声なのか疑問に思ったようです。