赤ちゃんはどうやって微生物叢を獲得しているのか?
そこで今回、フィンランドのヘルシンキ大学の研究チームが着目したのが母親の糞便です。
女性は陣痛中に排便してしまうことが多く、ここで赤ちゃんは糞便を通して母親の腸内細菌を受け取り、自身の微生物叢を構築しているのではないかと考えたのです。
ここから、今回の母親の希釈した糞便を赤ちゃんに与えるという研究がスタートしました。
研究では30人近い母親の参加者を募りました。ここから抗生物質の利用や潜在的に危険な微生物の有無、禁忌症状などの判別を慎重に行い、最終的に7人の母親で実験を行うことになりました。
母親の糞便サンプルは実験の3週間前に採取され、危険がないことを確認の上、専門家が希釈の処理を行い、赤ちゃんの授乳時に母乳に数滴混ぜて与えられました。
赤ちゃんは合併症などが起こらないか慎重に検査を行われます。出生時と検査入院の2日後、1週間後、2週間後、3週間後、そして3カ月後に経過の検査が行われました。
こうして観察を行った結果、生後3カ月までに今回の処置を受けた帝王切開の赤ちゃんが、通常の経膣分娩で生まれた赤ちゃんと類似した微生物叢を獲得していると確認されたのです。