塩をかけて起こる「浸透圧」とは?
カタツムリやナメクジに塩をかけると縮む理由は、からだの中から水分が急速に抜けていくためです。
これを「浸透圧」といいます。
カタツムリやナメクジの細胞には「半透膜」といって、一定サイズの分子などは通すものの、それ以上のものは通さない膜があります。
この半透膜を境にして、内側にからだの水分があり、外側に塩をかけるとします。
すると、外側の濃度が急激に高くなるので、内と外の濃度差が大きくなります(=浸透圧の上昇)。
これに対し、からだは濃度差のバランスを取ろうとして、内側の水分を外側に向けて移動させ始めます。
野菜を塩漬けすると同じことが起こりますが、カタツムリやナメクジの体表は塩を通さないので、体内の水分だけが一方的に出て行ってしまうのです。
塩が少量の場合、水をかけてあげれば元どおり復活しますが、量が多いと脱水症状で死んでしまいます。
しかし、好奇心だけでこの実験をするのはやめましょう。専門家は「その痛みは、私たち人間に置き換えると想像を絶する」と話します。
幸いにもヒトの皮膚は高度に発達し、過剰な水分と熱の喪失を防ぐようになっていますが、カタツムリやナメクジにはこれがありません。
つまり、彼らに塩をかけることは、人間で言うと全身の皮をはいだ状態で塩漬けにされるのと同じです。
その苦しみは、傷口に塩を塗ったことのある人なら少しは想像できるでしょう。
カタツムリやナメクジのような小さな生き物にも、敵に塩を送るつもりで接したいものです。