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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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「シャチ同士の共食い」が発生か? 2つの集団が衝突した可能性

2026.03.05 18:00:47 Thursday

海の頂点捕食者として知られるシャチ。

その社会は高度で、家族単位の結びつきが非常に強いことで知られています。

ところが最近、「シャチがシャチを食べた可能性」を示す奇妙な証拠が見つかりました。

ロシアの海岸に打ち上げられたシャチの背びれに、別のシャチによるものとみられる歯の跡が刻まれていたのです。

もしこれが事実なら、シャチの社会構造の成り立ちを説明する重要な手がかりになるかもしれません。

研究の詳細は南デンマーク大学(SDU)により、2026年2月8日付で学術誌『Marine Mammal Science』に掲載されました。

Chewed-up orca fins on Russian beach point to cannibalism, and scientists say it may explain why some pods are so tight-knit https://www.livescience.com/animals/orcas/chewed-up-orca-fins-on-russian-beach-point-to-cannibalism-and-scientists-say-it-may-explain-why-some-pods-are-so-tight-knit
Predation by Mammal-Eating Bigg’s Killer Whales (Orcinus orca rectipinnus) May Shape the Unique Social Structure of “Resident” Fish-Eating Killer Whales (O. o. ater) in the North Pacific https://doi.org/10.1111/mms.70142

シャチには「別の文化を持つ集団」が存在する

北太平洋のシャチは、同じ種でありながら生活様式の異なる集団に分かれています。

代表的なのが次の2つです。

レジデント型シャチ

魚を主食とし、巨大で安定した家族集団をつくります。

母系社会で、子どもは成長しても生まれた群れを離れず、生涯家族と行動を共にすることが知られています。

ビッグス型シャチ

こちらはアザラシやクジラなど海洋哺乳類を狩る捕食者です。

群れは小さく流動的で、個体は出生群を離れることも多いとされています。

この2つの集団は行動や食性、鳴き声などが大きく異なり、互いに接触したり交配することはほとんどありません。

研究者の間では、亜種あるいは別種に近い存在ではないかとも議論されています。

そして従来、この2つのタイプは基本的に互いを避けて生活していると考えられていました。

ところが、その関係に疑問を投げかける出来事が起きたのです。

ロシアの海岸に漂着した「歯跡だらけの背びれ」

2022年8月、ロシア極東のベーリング島の海岸で、1枚のシャチの背びれが発見されました。

発見者はロシア太平洋地理学研究所の研究者セルゲイ・フォミン(Sergey V. Fomin)です。

その背びれには、シャチ特有の歯型と一致する傷が多数残っていました。

【海岸に打ち上げられたシャチのヒレの画像がこちら

このような歯跡は、ビッグス型シャチがクジラやイルカを襲って食べた際にも見られるものです。

しかし今回のケースでは、被害者がシャチ自身だった可能性がありました。

さらに2年後の2024年7月、同じ地域で2枚目の背びれが見つかります。

こちらも同様の歯跡が刻まれていました。

研究チームはDNA解析を行い、これらの背びれがレジデント型シャチ由来であることを確認します。

つまり、魚を食べるタイプのシャチが、別のシャチに襲われた可能性が浮上したのです。

研究者たちは、この背びれの主が海洋哺乳類を狩るビッグス型シャチに捕食された可能性を考えています。

ただし注意すべき点もあります。

これが「殺して食べた」のか、それともすでに死んでいた個体の死骸を食べたのかは、現時点では断定できません。

それでも研究者は、興味深い仮説を提示しています。

次ページ共食いの恐れが「強固な家族社会」を生んだ?

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