川が「炭素の通り道」から「貯蔵庫」に変わる
今回の研究では、スイス北部の小さな河川(約800メートル)を対象に、ビーバーの活動が炭素の流れにどのような影響を与えるかが詳しく調べられました。
重要なのは、この研究が単に「どれだけ炭素が増えたか」を見たのではなく、水・土壌・植物・大気に至るまで、流域全体の炭素の出入りを統合的に測定した点です。

その結果、驚くべき変化が明らかになりました。
ビーバーがいない状態では、小川は炭素を下流へと運び、あるいは大気へ放出する「通り道」のような役割を持っていました。
ところがビーバーがダムを作ると、水の流れが遅くなり、堆積物や有機物がその場に留まるようになったのです。
さらに、水中に溶け込んだ炭素(溶存無機炭素)は地下へと浸透し、長期間保持されるようになります。
こうした変化の積み重ねによって、河川は「炭素を流す場所」から「炭素を蓄える場所」へと性質を変えていました。
実際にこの研究では、ビーバー湿地は年間で約98〜133トンの炭素を純吸収する「カーボンシンク」として機能していることが示されています。
さらに約13年間では、ビーバーがいない場合の約10倍にあたる炭素が蓄積されていたと推定されています。
つまりビーバーは、川の見た目だけでなく、炭素の流れそのものを書き換えていたのです。






















































