ダンゴムシは食べた鉱物を分子レベルで作り変えて装甲にしていた
ダンゴムシは食べた鉱物を分子レベルで作り変えて装甲にしていた / Credit:Canva
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ダンゴムシは食べた鉱物を分子レベルで作り変えて装甲にしていた

2026.03.23 22:00:39 Monday

誰でも一度はダンゴムシを見たことがあるでしょう。

小さな鎧のような殻をまとい、危険が迫るとくるっと丸くなって身を守ります。

ダンゴムシを飼ったことがある人なら、「虫かごに石を入れておくといいよ」と聞いたことがあるかもしれません。

ダンゴムシは石が大好きであり、隙間を住処にするだけでなく、石をかじったりなめたりする習性が知られているからです。

しかし今回、筑波大学(UT)の研究チームが最近発表した研究によると、ダンゴムシは口から取り込んだ石をただそのまま使うのではなく、体内ではとりこんだ結晶の鉱物構造を作り替えて、別の結晶相へ導いていることが示されました。

この結晶構造の変化は、結果として分子レベルの並び方が別のものへ変わっていることを示しています。

ダンゴムシはいったいどんな方法で、分子レベルの制御を行っているのでしょうか?

研究内容の詳細は2026年3月10日に『Journal of Structural Biology』にて発表されました。

ダンゴムシは食べた鉱物の構造を体内で作り変えて外骨格にしていた https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20260319140000.html
Effects of mineral nutrition on the cuticle structure of Armadillidium vulgare https://doi.org/10.1016/j.jsb.2026.108312

ダンゴムシは食べた鉱石をどうしているのか?

ダンゴムシは食べた鉱石をどうしているのか?
ダンゴムシは食べた鉱石をどうしているのか? / 自然環境を模した対照群(Nat Av)、石英群(Qz-fed Av)、カルサイト群(Cal-fed Av)、アラゴナイト群(Arg-fed Av)つまり、コントロールと3種類の鉱石を与えた4条件で試しました。

ダンゴムシの背中は、黒っぽくて硬そうです。

触ると確かに硬いですが、よく観察すると、実は意外にしなやかでもあります。

もし子供の頃にダンゴムシと戯れた経験があるなら、実感がある人もいるかもしれません。

その秘密は、殻の内部に隠れていました。

これまでの研究で、ダンゴムシの殻は4つの層に分かれていることが知られていました。

外側はカルサイトという硬くて安定した炭酸カルシウムの結晶が多く、一方、内側にはアモルファス炭酸カルシウムという「まだ結晶になりきっていない、ふわっとした構造の炭酸カルシウム」がたくさん含まれています。

こうしたアモルファス炭酸カルシウムは、結晶よりも少ししなやかで柔軟性があり、殻を単に硬くするだけでなく、衝撃を吸収して割れにくくするという重要な役割があると考えられていました。

硬い外側が「鎧」だとしたら、内側は衝撃を吸収する「クッション材」のようなものです。

問題はそこから先です。

ダンゴムシが鉱物をそのまま殻に流用しているのか、それとも体の中でいったん“ダンゴムシ仕様”に組み替えているのかは、まだはっきりしていませんでした。

そしてこの違いは、じつはかなり重要です。

もし後者なら、ダンゴムシの殻は単なる外骨格ではなく、生き物が鉱物を巧みに加工して作る高度な材料だということになります。

そして生き物が鉱物をどう取り込み、どう加工して、どう使いこなしているのかという、生体鉱物化の本質に触れる問いでもあります。

SFでは惑星や小惑星の鉱物を体内に取り込み自らの装甲に加工する生物兵器のような存在が描かれることもありますが、地球産ダンゴムシを調べることで、フィクションではない、鉱物摂食によるリアルな自己装甲化のメカニズムが見えてくるかもしれません。

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