ネタバレを聞くのは、自分の心を守るため
ネタバレについては、これまでにもさまざまな研究が行われてきました。
結末を先に知ると、物語の展開を理解するための負担が減り、かえって作品を楽しみやすくなるという報告がある一方で、驚きやサスペンスが失われ、楽しさが低下するという結果も示されています。
このように、ネタバレが作品を面白くするのか、台無しにするのかについては、単純な答えが出ていません。
そこで研究チームが注目したのが、「ネタバレを見せられたときに何が起きるか」ではなく、「なぜ人は自分からネタバレを選ぶのか」という問題でした。
今回の研究では、現実に近い形でネタバレを選ぶ行動を調べるため、「犬が死ぬ可能性のあるテレビドラマ」が用いられました。
チームは、参加者が作中の犬をどの程度心配したかに加え、その展開によって自分自身がどれほどつらい思いをしそうだと感じたかを調査。
そして、その感情がネタバレを選ぶ可能性や、その後の楽しさ、サスペンスの感じ方とどのように関係するかを検証しました。
ここでチームが区別したのが、「犬への心配」と「自分への心配」です。
犬への心配とは、「この犬に悪いことが起きてほしくない」と感じる、登場する対象に向けられた感情です。
これに対して自分への心配とは、「犬が死ぬ場面を見たら、自分がひどく悲しんでしまうのではないか」「見終わった後まで不安やつらさが残るのではないか」と、自分自身の感情的な反応を懸念することです。
登場人物への共感が強くなるほど、その人物に何が起きるかが自分の感情にも大きな影響を与えます。
そのため、犬の運命を心配する気持ちが、自分の受ける苦痛への心配に変わり、「先に結末を知って心の準備をしておきたい」という行動につながる可能性があるのです。
実際、研究の第1実験では、犬への心配が強い人ほど自分自身の感情を心配し、ネタバレを選びやすくなるという心理的なつながりが示唆されました。
第2実験でも、犬への心配、自分への心配、ネタバレを選ぶ可能性の関連性が改めて確認されました。
この結果が示しているのは、ネタバレを求める人が物語に興味を持っていないということではありません。
むしろ反対に、登場人物や動物に感情移入し、作品から強い感情的影響を受けるからこそ、先に結果を知りたくなる場合があるのです。
ネタバレを読むことで、悲しい出来事そのものが消えるわけではありません。
しかし「何が起きるか分からない」という不確実性は減らせます。
予想していなかった悲劇として受け止めるのではなく、あらかじめ心の準備をしたうえで物語に向き合えるようになるのです。
チームは、このようなネタバレの選択が、ネガティブな感情から自分を守る自己防衛の一種として機能している可能性があると考えています。






























