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水分保持力TOP3は? / Credit:Canva
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「水分保持力TOP3」は?”白い飲み物”2種と経口補水液だった【水じゃない】

2025.08.07 18:00:26 Thursday

高温下では体内の水分が汗として急速に失われ、脱水症状のリスクが高まります。

そんなとき、私たちが本能的に手に取るのは「水」ですが、本当にそれが最も身体に水分をとどめてくれる飲み物なのでしょうか。

この疑問に挑んだのが、イギリスのラフバラー大学(Loughborough University)を中心とする研究チームです。

彼らは、どの飲料がもっとも身体に水分をとどめるかを比較検証するための指標「Beverage Hydration Index(BHI)」を開発し、実験を行いました。

その結果、最も水分保持力に優れた飲み物は、「水」でも「経口補水液」でもないと判明しました。

この研究成果は、2015年11月24日付の『The American Journal of Clinical Nutrition』誌に掲載されています。

Scientists Ranked the Most Hydrating Drinks and Water Didn’t Win https://www.zmescience.com/medicine/nutrition-medicine/scientists-ranked-the-most-hydrating-drinks-and-water-didnt-win/
A randomized trial to assess the potential of different beverages to affect hydration status: development of a beverage hydration index https://doi.org/10.3945/ajcn.115.114769

「水分がどれだけ体内に留まるか」を調べる

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水分補給に適している飲み物は? / Credit:Canva

私たちが分補給をするとき、のどの渇きを癒すことだけに意識が向きがちですが、実はどれだけ体内に水分がとどまるかも非常に重要な観点です。

登山中や長時間の作業、または医療現場のように頻繁に水分補給ができない環境では、飲んだ水分がすぐに尿として排出されてしまうのでは意味がありません。

このような実用的なニーズに応えるため、研究チームは2016年に新たな評価指標「Beverage Hydration Index(BHI)」を導入しました。

これは、血糖指数(GI)に着想を得たもので、水を基準(BHI=1.00)として、他の飲料がどれだけ水分を体内に保持するかを数値化する仕組みです。

この研究では、72名の健康な成人男性が被験者となりました。

それぞれが1リットルの水、または13種類の市販飲料を摂取し、その後4時間にわたり尿量を測定しました。

その結果、摂取した水分のうち、どれだけが体内に保持されたかが比較されました。

飲料には、スキムミルクや経口補水液、オレンジジュース、コーヒー、炭酸水など日常的に飲まれているものが含まれており、それぞれの飲料に含まれる栄養素やカフェイン、糖分、ナトリウムの量が異なっていました。

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水分補給してから2時間後のBHIを分析 / Credit:Canva

この実験において、BHIの計算は2時間後の体内水分バランスをもとに行われました。

研究チームが4時間全体ではなく2時間時点に注目した理由はいくつかあります。

まず第一に、この時点で飲料ごとの差が最も明確に現れていたことです。

第二に、4時間中に排出された尿の約82%が、2時間以内に出ていたことが挙げられます。

第三に、日常生活では2時間以内に再び飲食が行われることが多く、それ以降は初期の飲料の影響が薄れるためです。

そして第四に、2時間と4時間で算出されたBHIにほとんど差がなかったためです。

つまり、2時間時点のBHIは、科学的・統計的・実用的に最も適したタイミングであると判断されたのです。

では、最も水分保持力が高かった飲み物は何でしょうか。

次ページ最も水分保持力が高い飲み物は「スキムミルク」だった

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