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Credit: Smithsonian Institution, National Museum of Natural History / Public Domain
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「人間の歯が生えたカキ」奇妙な標本が生まれた驚きの物語

2026.08.13 17:00:38 Thursday

もし海で見つけたカキに、人間の歯が生えていたら、思わず目を疑うでしょう。

実際、米国のスミソニアン国立自然史博物館には、まるで「人間の歯が生えたカキ」のように見える奇妙な標本が保存されています。

もちろん、カキが人間の歯を生やすわけがありません。

その正体は、海に沈んでいた「入れ歯」にカキが付着して成長したものです。

しかもこの標本は、半世紀以上たってから「その入れ歯は自分のものだ」と名乗り出る男性まで現れ、ちょっとした騒動を巻き起こしました。

なぜカキは入れ歯に住みついたのでしょうか。

そして、名乗り出た男性の主張は本当だったのでしょうか。

An Oyster With Teeth? The Curious Tale Of One Of Smithsonian’s Strangest Specimens That Sparked A Local Scandal https://www.iflscience.com/an-oyster-with-teeth-the-curious-tale-of-one-of-smithsonians-strangest-specimens-that-sparked-a-local-scandal-84349

カキが「入れ歯」を住処に選んだ?

この奇妙な標本が見つかったのは1898年のこと。

米国バージニア州のチェサピーク湾で船が海底から引き上げ、その後スミソニアン国立自然史博物館の所蔵品となりました。

標本をよく見ると、人工の歯が並んだ入れ歯の表面に、アメリカガキ(Crassostrea virginica)がしっかりと付着しています。

一見すると異様な組み合わせですが、カキの生活史を知ると、なぜこんな標本が生まれたのかが見えてきます。

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実際の標本/ Credit: Smithsonian Institution, National Museum of Natural History / Public Domain

春になって水温が上がると、成体のカキは水中に大量の卵と精子を放出します。

受精後に生まれた幼生は、成体とは違って自由に泳ぐことができ、2〜3週間ほど水中を漂います。

そして成長すると、今度は一生を過ごすための場所を探し始めます。

幼生は筋肉質の「足」を使って海底を這い回り、定着する場所を見つけると、特殊な接着物質で体を固定します。

ここで重要なのは、カキが付着する相手をそれほど厳しく選ばないことです。

これまでにも沈没船や陶器など、さまざまな人工物に付着したカキが見つかっています。

海底に沈んだ入れ歯も、カキにとっては単なる硬い足場の1つだったのでしょう。

こちらはカキのライフサイクルをまとめた動画。

こうして、誰かが失った入れ歯は偶然にも若いカキの「一生の住処」になりました。

結果として、人間の歯とカキが一体化したような、極めて珍妙な標本が誕生したのです。

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