言語能力と道具スキルは同じ脳回路が担当している
人類を他の動物と別ける要素として、古くから言語と道具使用の2つがあげられていました。
言語は複雑な情報交換を可能にし、道具は爪や歯では達成できない作業を可能にし、人類の生存と繁栄に大きく貢献しています。
ですが言語能力と道具スキルにかかわる2つの能力が、別個の脳領域から発生しているか、単一の領域から発生しているかは謎でした。
そこで今回、リヨン神経科学センター(CRNL)の研究者たちは、フランス語の構文を学んでいるときの脳の活動と、30cmの長いペンチを用いて板から細いクギ(ペグ)を抜いて穴に入れているときの脳活動をしらべてみました。
結果、両方の作業が同じ大脳基底核の一部を同じパターンで活性化させていることが判明します。
つまり人類の言語能力と道具スキルは、単一の神経回路から発生していたのです。
どうやら言語も道具も複数のパーツを適切な順番で配置する必要があるため、脳は同じ神経回路を使い回して運用していたようです。
ですが研究者たちは言語能力と道具スキルという、人類進化の秘密を解いただけでは満足しませんでした。
同じ回路から発生しているのならば、一方の練習で回路を強化すれば、もう一方の能力も連動して上がる可能性があったのです。