テリジノサウルス科の新属・新種と判明!
詳細な分析の結果、他のあらゆるテリジノサウルス類には見られない固有な特徴を持つことから、同グループの新属・新種であると断定されました。
化石に見られる356個の特徴を78種の獣脚類と比較したところ、この新属(パラリテリジノサウルス属と命名)は、テリジノサウルス類から派生した進化型であることが判明しています。(下図)
このテリジノサウルスが海の地層から発見され、海岸線に棲んでいたことから、「パラリテリジノサウルス・ジャポニクス(Paralitherizinosaurus japonicus=日本の海岸に棲むテリジノサウルス)」と命名されました。
属名の「パラリ」はギリシア語で「海の近く」、種小名の「ジャポニクス」は「日本」です。
また、爪(末節骨)の形の解析から、筋肉のつき具合と爪先に力を加える効率が、テリジノサウルス類の進化の中で小さくなっていったことも明らかになりました。
とくに、パラリテリジノサウルスはその値が小さく、弱い力で熊手のように近くの枝をたぐり寄せて葉っぱを食べていたと推測されます。
下の画像は新種の復元イメージです。
まっさきにモコモコの羽毛に目が行きますが、これはテリジノサウルス科に羽毛状の痕跡が認められる種もこれまでに見つかっているため、このように再現されたもので、今回の化石において、豊富でカラフルな羽毛が生えていた証拠が見つかったわけではないようです。
そのため注目すべきは、手と海辺に立っているシチュエーションになるでしょう。
しかし、恐竜好きにはワクワクさせられる素敵な再現画ですね。
本種は、日本で発見されたテリジノサウルス類として3例目であり、最も新しい時代(約8300万年前)の化石となります。
※ 先の2例は、白亜紀のアプチアン期(1億2500万〜1億1300万年前)とチューロニアン期(9390万年〜8980万年前)に当たる。
このことから、日本にはテリジノサウルス類が、これまでより長い期間存在したことを意味します。
さらに、白亜紀後期のテリジノサウルス類は、中国・モンゴルの南北に広く分布していましたが、今回の日本での新種記載により、同グループがより広い生息範囲を持っていたこともわかりました。
近年は、2019年に命名されたカムイサウルスや、2021年命名されたヤマトサウルスなど、東アジア沿岸域での新種の発見例が増えつつあります。
今後のさらなる発掘調査により、日本発の新種恐竜が続々と誕生するかもしれません。