長さ1mの爪を持つ「テリジノサウルス」ってどんな恐竜?
獣脚類のテリジノサウルス科は、とてもユニークな恐竜として有名です。
全長は尾を含め10メートル程になり、1メートル近くある長い爪を持っていました。
名前のテリジノサウルスは「刈り取りをするトカゲ」を意味し、長い爪で草を刈り取るように食べていたと考えられます。
このグループは、白亜紀(約1億4500万年〜6600万年前)の前期に多様化し、後期にアジア圏で繁栄しました。
進化とともに「肉食・雑食」から「雑食・植物食」に食性を変えていったことがわかっています。
肉食恐竜に代表される獣脚類に属してはいるものの、テリジノサウルスの動きは鈍く、3本の長い爪を引きずって歩いていたようです。
テリジノサウルスの化石は、主にモンゴルとアメリカで見つかっていますが、白亜紀当時、アジア大陸の東端にあった日本からも過去に2度、白亜紀前期の篠山層群(兵庫)と白亜紀後期の御船層群(熊本)にて、発見例があります。
そして2000年、北海道中川町の天塩川水系にて、約8300万年前の白亜紀後期の地層から、テリジノサウルス科と思しき右手の化石が発見されました。
この化石は、テリジノサウルス科との類似が示唆されたものの、現時点では、より広い分類群であるマニラプトル類に含まれています。
そこで本研究グループは、近年増えている世界中のテリジノサウルス類の標本も比較対象として含め、中川町の化石標本の再調査を実施しました。