父親との関係は「恋愛観」を左右する?
「父親の存在は子どもの成長に大きな影響を与える」とはよく言われますが、それが具体的にどのような影響を持つのかは、科学的にも長年議論されてきました。
特にこれまでの研究では、父親と娘の関係を対象に、父親が不在の家庭で育った娘は、男性パートナーに対する信頼感が低くなり、恋愛や結婚に対する期待も低くなる傾向があることが示されています。
しかし、息子についてはどうでしょうか?
「父親が冷たい家庭で育った男性は、将来的に恋愛に対してどう感じるのか?」
この疑問には、これまで十分な研究が行われていませんでした。
今回の研究は、まさにこの点に焦点を当てたものです。

研究者たちは、次のような仮説を立てました。
「幼少期に父親の愛情や養育への関与が少ないと、成人後の息子は『男性は恋愛関係においてあまり投資しないものだ』と考えやすくなり、自分自身も恋愛に対して消極的になるのではないか?」
この仮説を検証するため、研究チームはアメリカ在住の18〜36歳の異性愛者の男性486人を対象にオンライン調査を実施しました。
調査では、以下の5つの要素について質問を行いました。
・父親の投資の質:参加者は16歳までの間に父親から受けた温かさ、支援、養育への関与の程度を評価
・父親の存在:生物学上の父親が一貫して同居していたか、不在だったかを報告
・母親の影響:母親の温かさや関与の程度を測定し、父親の影響が母親の影響とは独立したものであるかを分析
・恋愛に関する信念:男性の一般的な恋愛関係への投資や、女性が求めるコミットメントについての信念を測定
・恋愛パートナーへの投資意欲:感情的なコミットメント、パートナーと過ごす時間、恋愛関係の優先度についての意識を評価
このように、幼少期に母親から受けた愛情の程度を調整した上で、父親の影響が将来の恋愛観に与える影響を明らかにしました。