「光が遅くなってるだけでしょ?」というオチではない
この手のニュースを読み慣れた方なら、こう疑うかもしれません。
「変な素材の中で光が遅くなってるだけで、そんなノロノロ状態の光を追い越してもたいした話ではないのでは?」
確かにそのようなケースは存在します。
たとえば水の中の光速は、真空中のおよそ75%(光速の0.75倍)。
だから理論上は、水中を光速の80%で進む粒子は「水中の光より速い」と言えるのです。
じっさい高エネルギー物理の実験では、このような光速の追い越しが起きたときに青白い光(チェレンコフ光)が出ることが知られています。
しかし今回は違います。
研究者たちが計測機器で実際に測定を行い、暗闇の点の速度が、真空中の光速cそのものを上回ったという結果が得られたのです。
研究ではまず六方晶窒化ホウ素(hBN)という薄い結晶が用意されました(以下「窒化ホウ素」と呼びます)。
窒化ホウ素はグラフェンの親戚みたいなシート状の素材で、この中では光が素直に光のままでは進めません。
光の波が結晶に飛び込むと、結晶の原子たちが揺さぶられて、光と原子の振動が混ざり合った「光と音のハーフ」のような波が生まれます。
これを「フォノンポラリトン」と呼び「光と原子振動の合いの子」のような存在です。
このポラリトンはとても面白い性質を持っています。
光がポラリトンになると、真空中の光速の100分の1ぐらいまで減速するのです。
「やっぱり減速した光の話しじゃないか?」
と思うかもしれませんが、本論文の数値を見ると、そうじゃないことがわかります。
このとき、ブレーキのかかったポラリトンの波の中に「闇」が生じます。
研究チームはこの暗闇の点の速度を測定したところ、その平均速度は、真空中の光速 c の1.04倍であることが実験的に確かめられたのです。
つまり、素材の中で減速した光を抜いただけではなく、暗点の速度としては、真空中の光速cすら上回っていたのです。
さらに複数の闇たちをまとめてみると、全体の29%が、堂々と c を突破した超光速状態にありました。
研究チームが理論計算で確かめたところ、もし真空中で同じ実験をしていたら、暗闇の点のうち光速を超えるのはわずか0.4%しかなかったはずだそうです。
「真空でも、ごくまれにそういう瞬間は起きうる」という意味です。
これも驚きですが窒化ホウ素という素材の中だと、それが29%まで跳ね上がり実に70倍以上に増えていたのです。
素材の中で光がのろのろ進んでいるはずなのに、その内部に発生する暗闇の点はかえって激しく光速を超えてしまう――つまり薄い窒化ホウ素の結晶は、暗闇の点の超光速イベントを「増幅して見えやすくする装置」として働いていたわけです。
ちなみに過去にも、超流体(絶対零度近くで摩擦ゼロになる液体)や超伝導体、台風みたいな流体の渦の中で、似たような「加速」は観測されていました。
でもそれらは全部、光速の手前で止まっていたのです。
位相特異点が光速を超える瞬間を時空間で直接観測したのは、今回が史上初。
ではこの「暗闇の点」、いったい何者なのでしょうか。




























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