超光速の闇は光から生まれていた

今回の研究で超光速が実験的に実証された闇の正体はある種の特異点でした。
正式には位相特異点と呼ばれる存在です。
特異点というと、ブラックホールの中心にあるものというイメージがあります。
ブラックホールの特異点というのは、その名のとおり、宇宙でいちばん「物理が通用しない場所」です。
ブラックホールの中心では時空の曲率が無限大になり、密度も無限大になり、すべての法則が破綻します。
既存の物理法則が通じない特異な存在、それがブラックホールの特異点です。
しかし位相特異点はそれとは異なります。
位相特異点そのものは、質量を持つ粒子ではなく、エネルギーや情報を運ぶ信号でもありません。だから、光速を超えて見えても因果律を破らないのです。
また出現の仕方も異なります。
ブラックホールは重力崩壊によって起こります。
一方で、位相特異点は、複数の光の波が干渉し合って、ある場所で振幅がゼロになり、その周りで波のリズムがぐるりと巻くときに生じます。
このとき、山と谷の打ち消し合いが起こると、光の「波」としての振れ幅(振幅)がゼロになり、光の強度もゼロになります。
もし周りが光の波で満ちあふれている空間の中でこれが起きると、そこだけぽつんと「暗闇」になるのです。

わかりやすい例だと、ノイズキャンセリング・イヤホン。
あれは外の騒音に対して「ぴったり逆向きの音波」をぶつけて、わざと波を打ち消し合わせる仕組みで動いています。
山と谷をぴたりと重ねれば、波は消える。だから周りはうるさいのに、耳元だけ静かになのです。
光でも、まったく同じことが起きます。複雑に重なり合った光の波たちが、ある一点で偶然きれいに打ち消し合うと、その一点だけ、本当に真っ暗になる。光のプールの中に、ぽっかり黒い穴が開いたみたいになるのです。
ただそれだけでは「特異」と名前が付くほどではありません。
特異点と呼ぶには「その点では、何かがうまく定義できない」という性質を持つ必要があるからです。
位相特異点が特異点と呼ばれるのは、波として必須なサイクル「位相」がわからなくなるからです。
たとえば月の満ち欠け。新月から満月へ、満月から新月へと、月は約30日でぐるっとサイクルを一周します。誰かに「今夜の月はどの段階?」と聞かれたら、「満月」とか「三日月」と答えられます。
これがまさに月の位相です。実は英語でも、月の満ち欠けのことをムーン・フェイズ(月位相)と呼びます。
光の波も、これと同じです。波の山にいるなら「位相は0度」、ちょうど真ん中まで降りたら「90度」、谷の底にいるなら「180度」、また登って山に戻ったら「360度(=0度)」――というふうに、波のサイクルのどこにいるかが角度で表せます。
ところが、波の振幅がぴったりゼロの場所では、そもそも山も谷もありません。
「山も谷もない場所で、いまサイクルのどの段階にいる?」と聞かれても、答えようがない。
月でいえば、空に月が一切見えない場所で「今のムーン・フェイズ(月位相)は何?」と問われているようなものです。問いそのもの、位相という概念そのものが成立しません。
ブラックホールの特異点は既存の物理法則の概念が成立しなくなります。
一方で位相特異点は位相という概念が成立しなくなるのです。
これが闇の正体です。
光の波の中に出現する、位相という概念だけがそこで決められない暗点というわけです。
そしてブラックホールが無から出現しないように、闇(位相特異点)も無からは出現しません。
位相特異点という闇が生じるにはまず光が必要だからです。
今回の研究では、1970年代の予測を確認するために、この闇を追いました。



























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