関係は突然壊れない、最初に消えるのは「好奇心」
多くの人は、「別れ」には決定的な原因があると思いがちです。
しかし、Mark Travers博士が強調しているのは、実際の関係悪化はもっと静かに進行するということです。
問題なのは、「相手を傷つける行動」が増えることより、「関係を支えていた何気ない行動」が減っていくことだとされています。
その最初の兆候として挙げられているのが、「相手への好奇心」が消えることです。
付き合い始めの頃、人は相手のことを驚くほど知りたがります。
「子どもの頃はどんな人だったのか」「何を考えているのか」「最近何にハマっているのか」「何に不安を感じているのか」
些細な話ですら、「もっと知りたい」と感じるものです。
ところが長く一緒にいると、人は「もう相手を知っている」と思い込み始めます。
すると会話が、生活の調整ばかりになっていきます。
「今日何時に帰る?」 「洗剤切れてるよ」 「明日の予定どうする?」
もちろん生活には必要な会話です。
しかし、ここで「相手をもっと知ろうとする姿勢」が止まり始めています。
この点に関係するのが、2010年の研究です。
この研究は好奇心が人との距離を縮めるうえで重要な働きを持つことを示しています。
研究チームは、好奇心が強い人ほど、初対面同士の雑談でも親密さを感じやすいことを明らかにしました。
興味深いのは、「深い話だから親密になる」のではなく、好奇心が強い人は、何気ない会話の中からでも相手の面白さを見つけやすかったことです。
逆に、好奇心が低い人は、「親密になるための特別な会話」が用意されている時だけ、つながりを感じやすい傾向がありました。
つまり関係を維持するうえで重要なのは、“話題の刺激”ではなく、「相手を新しく知ろうとする姿勢」なのです。
人は何年も同じではありません。
仕事で価値観が変わり、年齢とともに悩みも変化します。
それなのに「もう知っている人」として扱い始めると、相手は徐々に“背景化”していきます。
そして、その静かな無関心こそが、関係の距離を生み始めるのです。





























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