犬は青と黄色で世界を見る
目の中には錐体と呼ばれる色を認識するためのセンサーがあります。
人間の場合、その錐体は3つあり、長波長域(赤)、中波長域(緑)、短波長域(青)のそれぞれの光刺激の強さを読み取って色を認識しています。
このため、人間にとっての基本的な色を3原色と呼びます。
しかし、イヌの場合は錐体が2つしかなく、赤色周辺を示す長波長域を認識することができません。
このため、イヌは赤色を認識できず、図のように人間で言う紫~青を青っぽい色、緑~黄~橙を黄色っぽい色と認識していることになります。
人間には鮮やかに見える赤ですが、赤を認識できないイヌの目から見れば明暗しかわからず、灰色に見えているのです。
イヌは紫外線を見ることができる
また、ロンドン大学シティ校の生物学者ロン・ダグラス氏によればイヌは人間には認識できない紫外線を認識できると言います。
人間の目では紫外線は水晶体に吸収されてしまって認識できませんが、実は多くの生き物が紫外線を見ることができるそうです。
例えば昆虫は紫外線で花を見ることで蜜の在処をすぐに認識することができたり、真っ黒に見えるカラスは紫外線が見えると模様が合って個体の識別が可能であったり、紫外線が見えることで有利なことは様々あると考えられています。
人間のように波長を色で細かく区別はしないものの、動物たちの多くはその分広い波長の光を捉えているようです。
タペタムで暗闇でもわずかな光を認識
またイヌやネコなどの動物には網膜の裏にタペタム層と呼ばれる人間にはない反射板がついています。
これにより、網膜が吸収できなかった光を再度網膜へ反射させることで、僅かな光であっても2倍の強度で認識することができるのです。
イヌやネコなどの動物が暗闇の中で目を光らせているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか?
あればタペタム層で目に入った光が反射しているからなのです。
このため、イヌは暗闇の中でわずかな光も逃さず認識でき、暗闇でも何があるかわかると言います。
このように、イヌと人間では色や光の見え方が大きく異なりますが、実はそれ以外の「見え方」にも大きな違いがあります。
次ページで説明していきますね。