レーザーで落雷を制御する方法
落雷による機械設備の破壊、大規模な火災を防ぐためには、雷が安全な場所に落ちるよう誘導しなければいけません。
避雷針がその役割をいくらか担いますが、有効範囲や効果性には限界があります。
近くに避雷針があったとしても、必ずしも避雷針の方に雷が落ちるとは限らないのです。
そこで科学者たちは、より効果的な「レーザー誘雷」を研究してきました。
これは高強度のレーザーによってプラズマを作り、そのプラズマを「稲妻の道」にする方法です。
大気中の分子にレーザーでエネルギーを加えることで、それらの分子を破壊。
分子が原子になり、さらに原子核のまわりの電子が離れることで、イオン化するのです。
このイオン化した状態が、「固体・液体・気体」に続く、第4の物質の状態「プラズマ」であり、「電流が極めて流れやすい」という性質をもっています。
そのため、このプラズマの性質を利用するなら、大気中に「稲妻の道」をつくり、発生した稲妻を誘導できるというわけです。
これまでの実験では人工稲妻によるレーザー誘雷は成功していましたが、自然に発生した稲妻を誘導できた例はありませんでした。
しかし今回、ウルフ氏ら研究チームは、パルスレーザー(短い間隔で点滅を繰り返すレーザー)を利用して、自然の稲妻を誘導することに成功しました。